会計事務所や税理士法人とはどのようなものなのでしょうか?
ここでは一般の方々には馴染みのない「会計事務所」や「税理士法人」についてわかりやすく解説します。
会計事務所とは?
会計事務所とは顧客の会計業務を請け負うところの通称であり、会計士事務所、税理士事務所などがそれにあたります。会計事務所は誰でもその名称を使用することが出来ますが、会計士事務所、税理士事務所については、それぞれ公認会計士法、税理士法によって使用について制限されています。
会計事務所のサービス
会計事務所が展開しているサービスは、事務所の規模や所属している税理士・公認会計士の持つ専門性によって異なります。ここでは、会計事務所の主なサービス内容を説明します。
【税務業務】
税理士の独占業務である、税務代理、税務書類の作成、税務相談を行います。主に法人に対しては法人税や消費税、個人に対しては所得税や相続税についての税務が中心となります。会計事務所の所員が2月後半から3月前半にかけて特に忙しくなるのは、個人顧客の所得税の申告期限が3月15日にあるためです。また、会社の年末調整(※)を多く代行している会計事務所では、年末も繁忙期となります。
※年末調整とは:本来、一般のサラリーマンや公務員は1年分の所得について所得税を計算し、国に納付しなければなりません。ただ、1年分をまとめて納付すると高額になり負担が大きいことや、国が個々人に対応すると手数がかかることから、給与を支払っている者が12月の給与が確定してから1年分の所得税等を計算し、過不足を調整する制度が出来ました。
【会計業務】
記帳代行や、給与計算、試算表の作成、財務諸表の作成を行います。記帳代行は会計ソフト(弥生会計や、PCA会計など)を用いて、原始資料(領収書や振替伝票など)からPCへデータ入力します。会計事務所によっては、納税者が自ら経理業務を行うことが出来るように、会計ソフトを導入してもらい、使用方法の指導をするところもあります。
【財務・経営相談業務】
財務状態の健全化のため、資金繰りの支援を行います。具体的には、銀行から融資を受けるための資料(事業計画書など)作成や、銀行との交渉等を行います。その他、経営コンサルティング、創業支援、相続・事業承継、M&A、保険など、会計事務所によってサービス内容は多岐に渡ります。
税理士法人とは?
平成13年の税理士法改正により、それまで個人としてしか出来なかった税理士業務を法人として行うことが出来るようになりました。税理士法人を設立するには、税理士が2名以上いなければなりません。複数の税理士が共同して税理士業務を行うことにより、納税者の利便性を向上させることを目的としています。平成25年7月末日現在において、税理士法人の届出件数は2,624件、支店等を合わせると3,783件となっています。
税理士法人のサービス内容は、会計事務所とほぼ同様です。ただ、複数の税理士が共同して業務に当たることができるため、従来より規模の大きな案件や、複雑な案件、専門性の高い案件等を扱っていることが多いと言えます。具体的には、移転価格コンサルティング、国際税務、税務訴訟支援などがあります。
一方、個人で税理士業務を行っている税理士には出来て、税理士法人には出来ないことがあります。税理士資格によらずに行うことの出来る保険代理店業や不動産貸付業等です。税理士法人は、納税者の利便性を向上させるために、税理士業務を組織的に行うことを目的としているため、税理士業務の範囲から外れることについては税理士法で規制されています。