大手会計事務所が採用したい人材とは?

会計事務所で働く人であれば、「大手会計事務所で働いてみたい」と憧れを抱いたことがある人も少なくないでしょう。

しかし、大手会計事務所に就職するのは簡単ではありません。また、ひと言に「大手会計事務所」と言っても実は採用基準はいくつかのパターンに分かれます。

今回は、そのような視点から大手会計事務所に採用される人材を3つのパターンにまとめてみました。

なお、今回とりあげる大手会計事務所とは従業員100名以上の会計事務所と定義することとします。

BIG4税理士法人に採用されやすい人材

BIG4税理士法人とは、KPMG、PwC、EY、Deloitte(トーマツ)など世界的ネットワークに加盟する税理士法人です。このような大手会計事務所の場合、下記のような人材が採用されやすい傾向があります。

  • 若手(概ね30代前半くらいまで、できれば20代)
  • 官報合格者
  • 20代前半までは実務未経験でも可能性あり
  • 20代半ば以降は実務経験者(大手会計事務所出身者が好まれる)
  • 英語力のある人材は歓迎(地方事務所だと英語力が不要な場合もあり)

このように、BIG4税理士法人では、若くして官報合格している人材が好まれます。また、国際業務も取り扱っていますので、英語力があると歓迎されます。(目安としては、実務で英語を使ったことがあるか、TOEICで700点以上を取得しているとよいでしょう)

やはり業界最大手ということで求める人材もエース級です。

また、上記には景気やBIG4税理士法人の業績も影響します。

例えば、景気が良く大量増員を検討していたり、人不足しているときには、BIG4税理士法人でも、20代半ばくらいの人材であれば、科目合格者を採用することがあります。また、部署によって求める人材が異なる場合もあります。

ただし、科目合格者と言っても、20代半ばくらいまでの年齢で、 

  • 3科目以上、かつ、法人税法など難易度の高い科目に合格している
  • 英語力がある
  • 大企業や他の大手会計事務所にいた
  • 高学歴である

などキラリと光るものが必要とされる傾向にあります。

準大手・独立系大手会計事務所に採用されやすい人材

BIG4税理士法人にも100名を超える大手会計事務所は複数あります。

ここでとりあげる準大手・独立系大手会計事務所とは、BIG4以外の海外ネットワークに入っている会計事務所や、上場企業や大企業を顧問先に有している会計事務所です、

そう言った会計事務所では、下記のような人材が求められます。

  • 税理士試験科目合格者(3科目以上の合格者や法人税法など難易度の高い科目の合格者が好まれる)
  • 20代前半であれば実務未経験でも可能性あり
  • 20代半ば以降は実務経験のある人材が好まれる(他の大手会計事務所での経験者や、中堅~大企業の担当経験のある人材が歓迎される)
  • 30代半ば以降はマネジメント経験者
  • 英語力(TOEIC700点以上)があれば有利になる場合がある

準大手や独立系大手会計事務所も「科目合格している若手」を求める傾向にあります。ただし、BIG4税理士法人よりは選考は緩く、3科目程度の科目に合格していれば、あとは実務経験や年齢次第で採用のチャンスはあります。

また、大手会計事務所では、社内に30代前半でマネージャー(管理職)になっている人材がいることなどから、30代前半以上の年齢の場合には管理職経験を求められるケースもありますので、年齢には注意が必要です。

その他の大手会計事務所に採用されやすい人材

これまで例に挙げた2パターンは、大企業や上場企業などを顧客にしている会計事務所ですが、それ以外にも、中小企業を中心に税務顧問業務を行っている大手会計事務所もあります。

そう言った会計事務所では、下記のような人材が好まれます。

  • 税理士試験科目の合格者(2科目以上合格の人材が好まれる)
  • 20代前半であれば実務は未経験でも可能性あり
  • 20代半ば以降は年齢に応じた実務経験がある人材が好まれる(3~5年以上の実務経験があれば選考対象になることが多い)
  • 35代半ば以降はマネジメント経験者が望ましいが、必ずしもそうではない
  • 英語を使う業務はあまりないので、英語力はあまり関係がないことが多い

大手会計事務所でも、一般の会計事務所と同じように中小企業を主な顧客としている会計事務所であれば、それほど選考ハードルは高くありません。

上記にいくつかの条件を書いてはいますが、わかりやすく言えば、最低2科目以上、できれば3科目以上の税理士科目を取得して、3~5年程度以上の実務経験を積んでいる人材であれば採用の可能性があります。

このようにひと言に大手会計事務所と言っても実はいくつかのパターンに分類できるわけです。

大手会計事務所への就職や転職を希望される方は、自分自身のキャリアと照らしあわせて、採用されやすい会計事務所を選んで応募するのもひとつの方法でしょう。

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【手塚佳彦/株式会社ワイズアライアンス代表取締役CEO】 神戸大学卒業後、会計・税務・ファイナンス分野に特化した転職エージェントにて約10年勤務。東京、大阪、名古屋の3拠点にて人材紹介・転職支援、支社起ち上げ、事業企画等に従事。その後、グローバルネットワークに加盟するアドバイザリーファームにてWEB事業開発、採用・人材戦略を担当するなど、会計・税務・ファイナンス業界に精通。また、株式会社MisocaのアドバイザーとしてMisoca経営陣を創業期から支え、弥生へのEXITを支援するなどスタートアップ業界にも造詣が深い。 2013年10月、株式会社ワイズアライアンス設立、代表取締役CEO(Chief Executive Officer)就任、会計事務所名鑑編集長。

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