前回(まずは年収500万円の税理士を目指す)では税理士の年収について解説しました。
前回の記事で解説した年収は会計事務所の転職市場における年収の感覚値なのですが、実は、会計事務所で働いている人が自分の適正年収をもう少し具体的に知る方法があります。今回はその方法を解説します。
会計事務所のスタッフは年収の3倍稼ぐ必要がある
会計事務所が適正な利益を上げるには各従業員が「年収の3倍稼ぐ必要がある」と言われます。
年収の3倍稼げば適正な利益が出て、最低で2倍稼げば損益分岐点を超えるとも言われるのですが、ここに自分の適正年収を知るヒントがあります。
少し具体的に見てみましょう。
例えば、あなたが会計事務所の税務スタッフとして、以下の内容の顧問先企業を担当しているとします。
- 担当企業数:20社
- 顧問料:月額3万円×18ヶ月分(決算料込み)=年額48万円
- 顧問料の総額=48万円×20社=980万円
この場合、あなたの年収は以下のように目処がつけられます。
- あなたの年収目安=980万円×1/3=326万円
顧問先企業からの報酬額である980万円の3分の1の金額である326万円があなたの給料の目安となるわけです。
年収が顧問料総額の3分の1より小さくなるケースもある
通常は顧問料総額の3分の1が年収の目安ですが、それよりも年収が低くなるケースもあります。
例えば、記帳スタッフやアシスタントがいるケースです。先ほどの例はひとりで20社担当した場合ですので、アシスタントスタッフとともに20社を担当していた場合はあなたの年収はもう少し低くなるわけです。また、逆に上司の指示の下、20社を担当している場合も同様です。
年収をアップするためにはどうすればいいのか?
では、税理士や会計事務所で働く人が年収をアップするにはどうしたらよいのでしょうか?
今回紹介した法則が、必ずしも全ての会計事務所に当てはまるわけではありませんが、顧問料が高いほど年収も高いということは業界に共通する法則です。
そのため、会計事務所で年収を高めるためには、
顧問料を高めることが必要であり、
顧問料を高めるためには、高い顧問料を貰える企業を担当するということが必要です。
また、高い顧問料を貰える企業とは、大規模な企業や高度・複雑な税務を必要とする企業です。もしくは、税務以外に経営や財務、労務などもサポートすることによって、通常より高い顧問料を実現することもできます。
税理士を目指して会計事務所で働いていると、税理士資格を取得することだけに目が行きがちですが、専門性を高め顧問料の高い企業を担当することによって、年収を高めることもできます。
会計事務所の年収に関しては、今後も引き続き解説していきます。