消費税率及び地方消費税率について、平成26年4月1日以後は消費税率が8%に引き上げられることになりました。 消費税法改正は、会計事務所に対しても大きな影響をもたらします。ここでは消費税増税が会計事務所に与える2つの影響について解説します。
1:会計システムへの影響
消費税が改正されると、まず会計システムに影響があります。会計システムでは、税率に応じて仮受、仮払等の消費税勘定科目を使い分けたり、同時に複数の税率に対応した集計ができるようにする、サービスによって会計経過措置への対応をするといった、システムの変更や業務上の変更点があり、会計事務所で取り扱うシステムにおいても大きな影響があるのです。
また、これはシステムの使用が変更になるだけでなく、多くの会計システムにおいてはバージョンアップのための投資を行う必要もあり、会計事務所のコスト増にもつながりますし、顧問先企業の会計システムや会計ソフトの変更も必要になりますので、会計事務所だけでなく顧問先企業まで巻き込んだ影響があります。
2:会計実務への影響
消費税増税の法律の改正に伴い会計実務にも影響があります。その施行日(平成26年4月1日)以後の「商品の販売やサービスの提供」については新税率の8%で税率を計算して、納税しないといけません。当然、会計事務所でも、日々の課税仕入や課税売上の取引仕訳を新税率の8%に対応させる必要があります。但し、消費税増税の施行日以前のものは旧税率の5%を用いるため、時期に応じて税率を使い分けなくてはいけません。
また、施行日にまたがる取引については、特例として経過措置が設けられているものもあります。例えば、電車の乗車券や映画の前売入場券のように、現金の徴収と提供に時間の差があるものは、施行日以降の提供であっても徴収が施行日以前であれば旧税率の5%の消費税が適用されます。
このように、同一の会計期間内であっても、時期、商品、サービスの違いにより、異なる複数の税率を設定しなくてはいけません。こういった実務面での調整は会計事務所にとって手間であり、業務量増加につながります。
なお平成25年11月現在、10%への引上げは、今後の経済状況などを勘案して判断される予定であり、それによって再び同じ問題が生じると予想されます。
■参考URL:消費税法改正による業務・システム対応~来るべき消費税率変更に備えて~|消費税改正の全体像|小坂 洋平