2割特例が税理士を滅ぼす:元国税調査官・税理士 松嶋洋が語る!税務署の実態と税務調査対策ノウハウ

元国税調査官が税務調査対策すべてお話しします_元国税調査官・税理士_松嶋洋

本記事は元国税調査官・税理士 松嶋洋がセブンセンスグループのメルマガに掲載したコンテンツの再掲載です。記事内で言及されている法令ならびにその解釈はメルマガ掲載時のものとなります。

納税者に多大な負担を与えることを理由に、無秩序にインボイス制度を批判する者が多く存在しています。

この点を踏まえ、令和5年度改正においては、2割特例という愚かな制度が法制化されました。
これは、令和8年9月末までの経過措置です。その内容は、インボイスという制度が実現しなければ、消費税を納める義務がなかった一定の事業者について認められるものです。

具体的には、事前の届出なども不要で、売上に対する消費税の80%の控除を認めるという制度です。
インボイスを発行するためには、予め税務署に登録する必要があり、この登録した事業者は必ず消費税を納めるべき課税事業者になります。

一方で、2年前の売上が1千万未満であるような事業者は、消費税を納める義務がない免税事業者になることができます。
ただし、このような免税事業者もインボイスの登録をしてしまえば課税事業者になって消費税の納税義務が発生します。

このような、インボイス制度がなければ免税事業者のままでいれた者が、原則として2割特例の対象になることができます。

これだけ聞くと、非常にシンプルに思われるかもしれませんが、実は落とし穴が多く、非常にミスが多くなりそうな制度です。
と言いますのも、インボイス制度がスタートする前から、免税事業者になるかどうか、その判断はかなり複雑になっているからです。
免税事業者は消費税を納める義務がないため、この免税事業者を利用した節税が数多くあり、それをブロックするために免税事業者の判断を複雑にしてきた、という消費税法の歴史があります。
このため、免税事業者であったか、その判定を間違えるリスクがあります。

加えて、大原則は上記の通りですが、原則がある以上は例外もあり、期間特例という特例を使っている事業者など所定の事業者は常に2割特例を使えない、といった制限があります。

このような例外があれば、当然ながらケアレスミスをしてしまう可能性があります。
ミスをしてもリカバリーが効くなら問題ないですが、2割特例は最初の申告できちんと適用していないと使えない制度です。

2割特例を使えば税金を安くできたのに使わなかった、といった場合、過大に納めた消費税を返してもらうことはできません。
2割特例は申告の際に、2割税金を納める旨申告すれば足りるとされているからです。

簡単に使えるようにするためにこのような仕組みがとられているのですが、そうなると、逆に注意しないことも多い訳で、プロである税理士としてはケアレスミスをするリスクは大きいのです。

プロたるものケアレスミスなど論外なのですが、消費税に関する税理士の賠償責任は、そのほとんどはケアレスミスに起因して発生しています。

こういう意味においては、落とし穴が多い2割特例は税理士にすれば非常に恐ろしい制度なのです。

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元国税調査官・税法研究者 松嶋洋とは?

元国税調査官・税理士・松嶋洋元国税調査官・税法研究者・税理士
松嶋 洋

昭和54年福岡県生まれ。平成14年東京大学卒。国民生活金融公庫(現日本政策金融公庫)、東京国税局、日本税制研究所を経て、平成23年9月に独立。
現在は税理士の税理士として、全国の税理士の税務調査や税務相談に従事しているほか、税務調査対策・税務訴訟等のコンサルティング並びにセミナー及び執筆も主な業務として活動。とりわけ、平成10年以後の法人税制抜本改革を担当した元主税局課長補佐に師事した法令解釈と、国税経験を活かして予測される実務対応まで踏み込んだ、税制改正解説テキストは数多くの税理士が購入し、非常に高い支持を得ている。
著書に『最新リース税制』(共著)、『国際的二重課税排除の制度と実務』(共著)、『税務署の裏側』、『社長、その領収書は経費で落とせます!』『押せば意外に 税務署なんて怖くない』などがあり、現在納税通信において「税務調査の真実と調査官の本音」という500回を超える税務調査に関するコラムを連載中。

参考サイト

著書

引用元:2割特例が税理士を滅ぼす– 経営・会計コンサルティング

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