東京共同会計事務所といえば、証券化分野の第一人者である会計事務所だ。そんな同社には「銀行出身者こそ活躍できる部署がある」という。それがフィナンシャル・ソリューション部バックオフィスサービスグループの「資金チーム」だ。
資金チームでは、証券化、特にSPCに関連する配当金額等の計算や各種経費の支払いを担当している。当然配当金額等の計算は間違えられないし、外国送金などの特殊な送金だってある。種々様々な手続きを卒なく扱う必要があるため、銀行業務の経験が非常に役立つのだ。
今回は、実際に地方銀行から東京共同会計事務所の資金チームへと転職し活躍している西氏と友澤氏に、転職のきっかけや、銀行で培ったスキルや経験がどのように会計事務所で活きるのか、東京共同会計事務所でのキャリアパスなどについて語ってもらった。
東京共同会計事務所で活躍する人たち
当サイトでは、金融機関、士業など様々な分野から東京共同会計事務所へと転職して活躍する人たちについて、複数回に渡ったシリーズとして特集していきます。下記リンク先の記事も合わせてご参考ください。
目次
- 銀行でのキャリア構築に感じた不安と葛藤
- 銀行から会計事務所へ、転職を決意したきっかけ
- 「銀行を理解していること」が、会計事務所での仕事に活きる
- 業務効率化のための意見も積極的に言える環境
- 東京共同会計事務所なら「銀行での経験を活かせる」
東京共同会計事務所とは?東京共同会計事務所は、SPC(特別目的会社)を活用した証券化ビジネスのパイオニアとして、延べ9,000件を超える豊富な実績、多様な資産クラスおよびスキームの取り扱い実績を有する会計事務所です。 設立:1993年8月 フィナンシャル・ソリューション部資金チームとは?フィナンシャル・ソリューション部は、常時数千社に及ぶSPCおよび各種組合等に対し総合的な事務管理サービスをワンストップで提供しており、多様なSPC・各種組合等に関する豊富な管理実績を有しています。 その中でも資金チームは銀行出身者を中心としたメンバーが在籍し、事務管理を受託するSPCの銀行口座の開設・管理、配当金額等の計算、支払作業を担うポジションとして、以下の業務を遂行しています。 【主要な業務】
【所属メンバー】31名(正社員16名、契約社員・派遣社員15名/2025年2月1日現在) |
銀行でのキャリア構築に感じた不安と葛藤
── おふたりが銀行から東京共同会計事務所に転職した経緯を教えてください。
西:私は前職で地方銀行に勤めていました。
船舶ファイナンスを担当していたのですが、その中で東京共同会計事務所が管理を受託しているSPC案件に関わる機会があったんです。そこから東京共同会計事務所のことを調べてみたら「会計事務所でも銀行で培った経験が活かせることがありそうだ」と感じました。
その時点では転職を考えていたわけではなかったのですが、次第に東京共同会計事務所のことが気になってきたんです。それで話を聞きにいき、最終的にはキャリア採用に応募をして転職するに至りました。
西 勇樹(にし ゆうき)
東京共同会計事務所
フィナンシャル・ソリューション部 バックオフィスサービスグループ 資金チーム
アソシエイトスタッフ
千葉大学卒業後、地方銀行に入行。融資・資産運用などの渉外活動に従事。その後、船舶ファイナンスに特化した外為業務に従事。2023年5月、東京共同会計事務所に入所し、資金チームにてSPCの送金・納税等の支払業務および口座管理業務に従事。
── 東京共同会計事務所のどういった点に惹かれたのでしょうか?
西:当時の私は銀行で営業職に就いていて、短期で収益をあげないといけないような目標を毎期課されていました。地方都市だと人口や会社数も限られていて…。そうなってくると顧客本位というよりは、自分本位の提案やセールスばかりになっていました。もちろんその中でも顧客から直接感謝の言葉を聞けたり、頼っていただけたりすることに対してやりがいはありました。でも一方で、銀行の本来の役割は顧客である企業様の長期的な成長や成果を見据えながら伴走していくことがより重要なのではないかとも思うようになったんです。
そんな中、SPCという仕組みを利用して企業様の意向を汲みながら長期的な視点でファンド運用されていることを知りました。自分にとっては、このSPCを取り扱う東京共同会計事務所も、自然と長期的な視点で経営を行っているのでは?と思うようになり、少しずつ気になり始めていたように思います。
そして、色々と調べていくうちに、長い目でみたら会社として魅力的かも──。そう感じて東京共同会計事務所に興味をもちました。
── 直接的な取引先ではないとはいえ、同じ業界にいる会社への転職は気になりませんでしたか?
西:前向きに転職したので、その点はあまり気にならなかったです。
ただこれは笑い話なのですが、ちょうど東京共同会計事務所の面接を受けている時期に、東京共同会計事務所の方が、当時私が勤めていた銀行の支店を訪ねてきたことがありました。打合せか挨拶に来ていたのだと思いますが、私が転職活動をしていることが銀行にバレるのではないかとソワソワしてしまいました、もちろんそんなわけはないのですが(笑)。
── それは落ち着かないですね(笑)。友澤さんはいかがでしょう。
友澤:私は新卒で地方銀行に入行して都内の支店に配属され、融資や外為事務に携わりました。その後に本部部門の事務管理部に異動してからは業務改善の提案や実行にも携わっていました。
それまで支店で行っていた事務が本部へ集約されることになり、支店の統廃合やATMの台数削減で、支店運営のスリム化が着々と進んでいた時期のことです。
今でも覚えているのですが、当時はこういった流れは止められないと感じましたし、このままでは今まで自分が培ってきた経験やスキルを行内で活かすことが難しくなっていくのではないか…と危惧し始めた頃でした。
友澤 みなみ
東京共同会計事務所
フィナンシャル・ソリューション部 バックオフィスサービスグループ 資金チーム
アソシエイトスタッフ
麗澤大学卒業後、新卒で地方銀行に入行。支店にて融資・外為事務に従事。本部では事務管理部門・ストラクチャードファイナンス部門の業務も経験し、主に融資事務面でSPC業務に携わる。2023年10月、東京共同会計事務所に入所し、資金チームにてSPCの送金・納税等の支払業務および口座管理業務に従事。
── 銀行が変わっていくことを通じて、自身のキャリアの将来にも不安を感じられたのですね。
友澤:はい。そのときは本当に不安でした。もちろん、例えば営業などの必要なスキルをもっている方は、今後も行内で十分に活躍していけるでしょう。
でも私は支店で特殊な事務を担当していたので、行内で貢献できることが減ってしまうのではないかという不安がありました。これが自分の働き方について考え直す機会になったんです。
この時点では絶対転職したいという気持ちがあったわけではありませんが、ひとまず転職エージェントに登録して、転職活動を始めてみました。
── どういった経緯で東京共同会計事務所を選んだのか、教えてください。
友澤:私は30代になってからの転職活動だったこともあり、まったくの異業種ではなく、銀行と親和性のある業界や職種に絞って会社を探すことにしました。
その条件にあてはまった内のひとつが、東京共同会計事務所でした。
私は銀行時代にSPC管理の事務をしていたこともあって、東京共同会計事務所の名前は知っていました。会計の知識がほとんどないという点に躊躇する気持ちはありましたが、資金チームの募集ではそれでも問題ないとのことだったので、思い切って応募してみたんです。
── 他の会計事務所は選択肢になかったのでしょうか?
友澤:しっかりと調べたわけではないのですが、他の会計事務所には「銀行経験者を採用したい」と名言しているところはなかったと記憶しています。
東京共同会計事務所はその点を明確にしてくれていたので、安心して応募ができました。
銀行から会計事務所へ、転職を決意したきっかけ
── おふたりとも、必ずしも「絶対に今転職しよう!」という強い気持ちで転職活動を始めたわけではなかったのですね。それが転職に傾いたきっかけはありますか?
西:銀行時代は総合職だったので、もちろん転勤もありましたし、職種も3~5年ごとにころころ変わる環境にありました。幅広く色々な経験ができるという点では良い環境ではあったのですが、私としてはそろそろ何か特定の領域を深く追及したいと考えるようになっていました。
その点、東京共同会計事務所はSPCに特化している会計事務所です。そう考えると私の希望とマッチしているし、ここなら転職してもいいかなと考えました。
友澤:私は面接で、業務内容についてかなり詳しく説明していただいたんです。その説明を受けて、このまま銀行でいるよりも長い期間、自分の経験を活かして事務に携わっていけると確信がもてました。それで東京共同会計事務所への転職を決意しました。
── 面接はどのようなものだったのですか?
友澤:面接の回数は他の応募先と比べると多く、1回あたりの時間も長めに取ってもらいました。その際、事業や業務のことだけでなく、残業時間や評価制度など、一般的には聞きにくいであろうことも詳しく共有してもらいました。
また、面接ではありますが一方的に話を聞かれるわけではなく、相互理解が重視されていて、入所後にミスマッチが起こらないように気にしてくれていたことが印象に残っています。これも東京共同会計事務所に入所を決めたきっかけのひとつですね。
複数回の面接を通じて、事務所のことを細かいところまで開示してもらえましたし、かつ、私自身のことも理解してもらえたのが良かったと思います。
「銀行を理解していること」が、会計事務所での仕事に活きる
── おふたりはフィナンシャル・ソリューション部バックオフィスサービスグループの「資金チーム」に在籍しています。こちらはどのくらいの規模の部署なのでしょうか?
西:2025年2月現在、産休の方も含め、契約社員、派遣社員合わせて約31名が働いています。正社員は産休の方を含めて16名です。
友澤:ちなみに資金チームの中には、在宅勤務や時短勤務している方もいます。支払いという業務の特性から銀行の営業時間である9〜15時に行う作業も多いのですが、複数名で対応できるように調整しています。また、フレックスタイム制度もあるので子育てをされている方でも柔軟に働くことができています。
西:私も月の3~4割は在宅勤務で働いていますね。
友澤:銀行時代は毎日出社していたので、在宅勤務ができるのは驚きましたね。
── おふたりの担当業務を教えてください。
友澤:SPCの契約内容に基づいて種々の支払金額が決まるので、それに従って支払いを実施します。経費からローン元利金、税金や公共料金の納付に至るまで、SPCに関連するすべての支払いが対象になります。
西:支払いは伝票やインターネットバンキングで行います。他のメンバーが支払伝票や支払データを作成し、それを友澤さんや私が確認・承認して支払う、という流れですね。
友澤:あと、西さんや私の担当ではありませんが、資金チーム全体では、配当金額等の計算なども担当しています。
── 今の仕事では、銀行での業務経験を直接的・間接的に活かせていますか?
友澤:伝票や口座開設書類などは、銀行は違っても邦銀でしたらベースは同じです。今でも前職時代に知っていた書類などを目にする機会は多いので、そういった意味で銀行時代の経験は存分に活きています。
税金や公共料金の納付も多いので、銀行で窓口を経験している方にとっては特に支払業務は馴染みやすいのではないでしょうか。
── 銀行にいると、外の世界ではそのスキルは通用しないようにも思えるかもしれませんが、会計事務所でも、良い意味で予想外にスキルが活きているんですね。
西:そうですね。
他にも例えば、基本的には資金の支払いには余裕をもって対応していますが、中には差し迫った支払いがどうしても発生してしまうことがあります。それに対して所内の他部門の方々や銀行とも調整や交渉が発生するケースもありますが、そんなときでも相手を不安にさせないような立ち居振る舞いや言い方が必要になってきます。
こういった能力は銀行でも培われる能力なので、そういったものも活かせていると感じますね。
── 差し迫った支払いとはどのようなものですか?
西:例えば、外国送金はマネーロンダリングとの関係で、即日送金はまずできません。最近は特に厳しくなっていて最低でも2~3日前には銀行に申請する必要があります。
とはいえ中にはタイトな支払いがどうしても発生してしまいますし、その場合は銀行の都合も汲み取って依頼する必要があります。そういう意味でも、資金チームに銀行勤務経験者がいると、銀行側の事情や仕組みもわかったうえで動いていけるので助かりますね。
── 銀行内部の事情をわかっていることがプラスに働くのですね。
業務効率化のための意見も積極的に言える環境
── 資金チームの仕事のやりがいや楽しさ、大変さについて教えてください。
西:ありがたいことに、東京共同会計事務所としてSPCの事務受託数は年々増えており、支払件数もその分増えています。それもあって体力が要る事務職とはなっています。
友澤:1円の誤差も許されないという意味では銀行と変わりませんし、正確さや集中力を必要とされる仕事が毎月相当な件数あるのは、正直大変です。
それでも、チームでフォローしあいながら、所内の担当者や外部の銀行担当者と連携して対処していくという点は、楽しくもあり達成感があるところです。
友澤:銀行時代は業務改善ひとつ取っても多くの部署や関係者の承認が必要で、既存のやり方を変えることの難しさを感じていました。
一方で東京共同会計事務所の資金チームでは、業務改善案をミーティングで積極的に出し、そこで生じた疑問点や改善策などがすぐに実際の業務に反映されます。こういったフットワークの軽さは、銀行とは異なるこのチームの良さですね。
西:確かに、そういったミーティングは定期的に開催しています。積極的に意見を交換して、どんどん業務を改善していく機会は多いですね。
──仕事の達成感はありますか?
友澤:担当する件数も多いですから、忙しい月末を乗り切ると達成感はあります。先輩社員は難しい案件も担当しているので、そういった意味の達成感もありそうです。
東京共同会計事務所なら「銀行での経験を活かせる」
── 東京共同会計事務所での今後のキャリアパスについては、どのように考えていますか?
友澤:まずは今の支払業務をきちんとこなせるようになることが当面の目標です。
先輩社員は、自分より多くの件数をこなしているにもかかわらず、新入所者の指導や他のチームからの照会に回答しているので、そこに追いつかなければならないと考えています。
西:私は証券化の中でも、不動産証券化に精通していきたいと考えています。
それもあって先日、不動産証券化マスターという試験を受け、無事に合格しました。こういった資格も活かしつつ、幅広く他の職種やチームの業務にも挑戦できたらいいなと考えています。
── 他の部署への異動も考えているのですか?
西:機会があれば検討したいですが、資金チームで一人前になるのが先決です。そうなったら相談に乗っていただけるとも言われていて、こういった環境があるのも東京共同会計事務所の嬉しいところです。
── 最後に、銀行から東京共同会計事務所に転職を考えている方に向けて、メッセージをお願いします。
西:自信をもって「銀行での経験を活かせる」と言い切れる会計事務所は珍しいと思います。
「これまで培ってきたスキルは捨てたくないけど転職には興味がある」
そういった方は、ぜひ東京共同会計事務所の資金チームを検討してみてほしいです。
また、資金チームには銀行出身者が多く、同じ境遇だった方が多くいます。そのためチームは団結していますし、悩みや不安も相談しやすい環境にあります。そういう環境で仕事ができるのもこのチームの良さですね。熱烈歓迎します。
友澤:私自身もそうでしたが、会計事務所の仕事というのは外からは想像しにくいと思います。
しかし銀行出身の私からみても、資金チームでは銀行時代の知識や経験をしっかりと活かすことができていると感じています。少しでも興味をもっていただけたらぜひ話を聞きにきてほしいです。
── 西さん、友澤さん、本日はありがとうございました。