本日、令和6年度(2024年度/第74回)税理士試験の結果が発表されました。
合格された皆様、おめでとうございます。
また、惜しくも合格とはならなかった皆様、来年は良い結果をつかめますよう祈念しております。
さて、今年の税理士試験の結果に関するまとめと考察をお届けします。
今年から国税庁のWEBサイトに、5科目、ならびに、各科目の合格者の番号が掲載されており、特に科目合格の方は、郵送で結果が届くのを待つ必要がなく、すぐに結果がわかるようなっています
さて、今年の税理士試験合格発表のポイントは以下です。
夏の記事でお伝えした通り、税理士試験の受験生は増加傾向にありますが、合格率が大きく下がったことにより、合格者数も昨年より減少となっています。
令和6年度・第74回 税理士試験合格発表のポイント
- 合格者の総数(実人数)は前年比1,363名の減少
- 合格者数、合格率ともに減少
- 30歳以下の官報合格者数は142名と前年比15名の増加
受験者・合格者数と合格率
合格者は5,762名、昨年から1,363名の減少
本年の税理士試験の受験者・合格者数と合格率は以下のようになっています。
令和6年度・第74回 税理士試験合格発表の概要
- 受験者数:34,757名(延べ49,676名)
- 合格者数合計(実人数):5,762名(官報合格者数:578名、一部科目合格者数:5,184名)
- 合格率:16.6%
本年の合格者(一部科目合格者含む)は5,762名であり、昨年の7,125名から1,363名の大幅な減少となりました。また、合格率も昨年の21.7%から16.6%へと下回る結果となりました。
税理士試験の合格者数は、受験者数と一定の相関性がありますので、受験者数の増加に連動し合格者数も増加すると思われましたが、特に財務諸表論の難化の影響が大きく、減少となっています。
近年の税理士試験は受験者数が上昇トレンドにありましたが、財務諸表論の難化で税理士試験から離脱する人が増えないか少し心配な結果ではあります。
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合格率に関しては、多少の変動はありつつも、中期的には15~20%の間で推移しておりますが、本年は16.6%と低めの結果となりました。
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官報合格者の数は、数年ごとに増減を繰り返しつつ中長期では減少傾向にありますが、本年は578名と昨年に比べて22名の減少となり、ダウントレンドが続いています。
近年は大学院にて税法科目免除を選択する人や、公認会計士から税理士登録をする人も珍しくはないため、官報合格者数の減少が税理士の減少に与える影響は昔ほど大きくないかもしれませんが、とはいえ官報合格者数の減少は気になるところです。
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男女別の合格者数
女性の合格者比率は30.6%
合格者の性別は以下のとおりです。
令和6年度・第74回 税理士試験合格者の男女比
- 合格者合計:5,762名(男性:4,001名、女性:1,761名)…女性比率30.6%
- 官報合格者:578名(男性:430名、女性:148名)..女性比率25.6%
- 一部科目合格者:5,184名(男性:3,571名、女性:1,613名)..女性比率31.1%
合格者に女性が占める割合は30.6%となっており、一昨年の30.1%、昨年の29.7%と同じく、合格者全体のほぼ3割が女性となっています。
合格者に占める女性比率は横ばいではあるものの、直近数年は30%前後で推移しており、以前に比べてわずかながら増えている印象があります。まだまだ女性の数が多いとは言えませんが、女性の数が増えていること自体は、多様性の推進や女性活躍といった観点からも業界全体にとってもプラスにと言えるでしょう。
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年齢別の合格者数
20歳以下での官報合格者も!?30歳以下の官報合格者はわずか142名!
年齢別の合格者数は以下のとおりです。例年通り若い年齢ほど合格率が高くなっています。
そして、20歳以下の官報合格者が1名おられます。すごい…
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また、30歳以下の官報合格者数は142名と、昨年の127名からわずかばかり増加しています。
この142名という数字は、47都道府県で平均すると1都道府県当たり約3.0名という人数になり、若手税理士の希少価値の高さがわかる数字ともなっています。
また、30歳以下の官報合格者数は以下のグラフの通り、年々減少傾向にありましたが、直近は3年連続増加しています。高齢化の進む税理士業界において、わずかばかりとは言え、若手税理士が増えていくことは明るい話題だと言えるでしょう。この傾向が来年以降も続くことが望まれます。
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科目別の受験者数・合格者数・合格率
合格率最高は相続税法の18.7%、最低は財務諸表論の8.0%
科目別の受験者数・合格者数・合格率は以下のとおりです。
本年の科目で、最も合格率が高かったのは相続税法の18.7%でした。そして、合格率が最も低かったのが財務諸表論の8.0%でした。昨年28.1%からの大幅下落であり、財務諸表論の受験者の皆様には非常に厳しい結果となりました。簿記論や財務諸表論は、初学者の方が受けることが多い科目ですので、今年の結果を受けて税理士試験から離脱する人が増えないことを祈ります。
全体の合格率は、一昨年から昨年にかけて16.7%→18.8%と増加していましたが、本年は昨年より5.3%ダウンし13.5%となっています。財務諸表論の合格率の影響が大きかったと言えるでしょう。
※合格者数・受験者数は複数科目受験者・合格者を含む延べ人数。
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税理士や科目合格者、会計事務所経験者はまだまだ人手不足
2024年は、終盤に103万円の壁が大きな話題になるなど、税制にも注目が集まった1年でした。また、会計事務所の現場では、改正電帳法やインボイス制度に対応した新たな業務フローに試行錯誤しつつ、取り組まれた年でもあったかと思います。
業界全体では、引き続き人材不足が続いており、求職者(応募者)側が有利な採用環境となっておりますので、税理士や科目合格者、会計事務所経験者、本年の合格者のみなさまにとっても、就職・転職活動は引き続き行いやすいものになると予想されます。
新たに税理士業界に入ってきてくださった方々も含めて、皆様の今後のキャリアがより良いものになることを祈念しております。
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※参考:本記事は令和6年度(第74回)税理士試験結果(国税庁)をもとに作成致しました。