2001年の税理士法改正を契機に税理士法人の設立が認められ、会計事務所の大型化も進んできました。近年では従業員数が数百人を超える会計事務所も増えてきていますが、そこに所属している税理士の人数はどうなのでしょうか?税理士が多い会計事務所はどこなのか、調べてみました!
本記事の目次
1:ランキングの集計方法
まず、このランキングを作成するにあたり、どのように集計を行ったのか説明します。
本ランキングは、全国の会計事務所を対象に、その会計事務所で働いている税理士(開業税理士、社員税理士、所属税理士)の総数を独自に集計し作成しました。集計にあたっては、以下の方法・基準日で集計しています。
- 集計方法:編集部にて従業員数の多い会計事務所をピックアップ(約50事務所)。その後、日本税理士連合会の税理士情報検索サイトでにて各会計事務所の税理士を検索し集計。
- 集計日:2024年10月21日
- 集計ルール
- グループが同じでも税理士会に登録されている法人格が別の場合は、別法人としてカウントしています。支店・支社の場合は同一法人としてカウントしています。
例)
・あああグループ(あああ税理士法人…50名、埼玉あああ税理士法人…5名)→ あああ税理士法人…50名、埼玉あああ税理士法人…5名をそれぞれ別の会計事務所としてカウント。
・あああ税理士法人…50名、あああ税理士法人 埼玉事務所…5名 → あああ税理士法人…55名としてカウント。
- グループが同じでも税理士会に登録されている法人格が別の場合は、別法人としてカウントしています。支店・支社の場合は同一法人としてカウントしています。
2:所属する税理士が多い会計事務所はどこ!?ランキングを発表!
それでは、皆さんが最も気になるランキング結果を発表します!
集計の結果、税理士の数が多い会計事務所の上位30位は以下の通りです。あなたの知っている事務所はランクインしているでしょうか?
※「東京共同会計事務所」は「内山隆太郎税理士事務所」の人数をカウントしています。
3:ランキングの考察
ランキング結果から、気になったポイントを3つ挙げてみます。
【1】税理士を定着させ、増やすことの難しさ&税理士資格者の希少価値
現在、税理士は全国に81,476人(2024年10月末)いますが、税理士が200名を超える会計事務所は全国でわずか6事務所、100名以上の事務所でもわずか8事務所しかありません。
大手四大会計事務所として数えられるBIG4税理士法人の中では、デロイトトーマツ税理士法人の税理士数が頭ひとつ抜けていますが、人員数1,153名(2024年5月末現在、同社サイトより)のうち、税理士は398名であり、そこまで税理士比率が高いわけではありません。
近年では従業員数が100名以上の会計事務所も増えてきており、また、WEBやSNSでの露出の多い会計事務所も増えてきているため、成長中の会計事務所も増えているように見えますが、実態としては、税理士が多い会計事務所はごくわずかであり、税理士を定着させながら、事務所の規模を拡大させていくことの難しさも感じ取れます。
また、同時に逆の立場から見てみると、採用対象としての税理士の希少価値の高さも感じられると言えるでしょう。
【2】会計事務所の規模と専門性の高さは関係ある?
税理士が多い会計事務所と聞くと、大企業に対して専門性の高い高度な税務サービスだけを提供しているイメージを持つ人も多いかも知れません。
実際、上位にはBIG4税理士法人を始めとし、AGS、朝日、太陽グラントソントン、あいわ、アクタス、クリフィックス、東京共同会計事務所など、上場企業や大手企業に対してサービス提供している会計事務所が名を連ねており、税理士数とクライアントの規模やサービスの専門性の高さは一定の相関関係にあるといえるでしょう。
一方で、辻・本郷、山田&パートナーズのように大企業を顧問先として有しつつも地方にも拠点を置いて中小企業のクライアントにも対応していたり、ティグレパートナーズやゆびすいのように中小規模の事業者を中心にサービス提供している会計事務所もあるなど、税理士が多い会計事務所といっても様々なフィールドで規模を拡大してきていることがわかります。
【3】相続・資産税に特化した会計事務所は採用にも有利か!?
特化型の会計事務所の中では、相続に特化した税理士法人チェスター(税理士数73名)が10位にランクインし、特化型の会計事務所の中でトップとなりました。
相続特化の会計事務所には、テレビCMや広告を積極的に行っている会計事務所や、チェスターよりも先発の会計事務所も多数存在していますが、2008年設立の同社がトップとなっています。また、総合型の会計事務所を軒並み押さえて10位にランキングしていることから、同社の採用力の高さや、税理士が働き続けたくなる魅力的な組織づくりの上手さが感じられます。
また、トップ30位の中には他にも、23位の税理士法人タクトコンサルティング(税理士数34名)、27位の税理士法人FP総合研究所(同30名)もランクインしているなど、相続・資産税特化の会計事務所が3社ランクインしています。会計事務所業界における相続・資産税への特化はマーケティングのみならず、採用面でも強みとなるのかもしれません。
以上、税理士数が多い会計事務所ランキングTOP30をご紹介しました。
近年では、多士業(社会保険労務士や司法書士、弁護士等)で展開するワンストップ型の会計事務所や、税務以外のサービス(M&Aや企業再生、財務コンサルティング、不動産・保険等)と複合的にサービスを展開することで、税務サービス自体の規模は大きくなくともグループとしてレバレッジを効かせて拡大している会計事務所もあるなど、会計事務所の形も多様化してきています。
しかしながら、今回のように純粋に税理士の数だけで業界を見てみると、普段とは違った形で見えるのではないでしょうか?そんなランキングになったかと思います。
この企画が好評であれば年1回程度を目安に更新記事を作成し、定点観測を行っていくのも良いかと思っています。本記事が興味深いと感じてくださった場合は、SNSなどでシェアしていただけると嬉しいです。反響が大きければ今後のレギュラー化を検討いたします!
なお、もし、今回のランキングに「当事務所がランクインしていない」などあれば下記のX(旧:Twitter)アカウント、または、お問合せフォームよりご連絡ください。
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