買主の管理が必要になる:元国税調査官・税理士 松嶋洋が語る!税務署の実態と税務調査対策ノウハウ

元国税調査官が税務調査対策すべてお話しします_元国税調査官・税理士_松嶋洋

本記事は元国税調査官・税理士 松嶋洋がセブンセンスグループのメルマガに掲載したコンテンツの再掲載です。記事内で言及されている法令ならびにその解釈はメルマガ掲載時のものとなります。

昨年の令和5年度改正では、空き家の譲渡特例に関し大きな要件緩和がなされました。

空き家の譲渡特例とは、一定の要件を満たす、空き家になった被相続人の居宅やその敷地を相続して売った場合の特例です。
この場合、所定の要件を満たすことでその譲渡所得から3千万円の控除ができます。

この特例は、現状、空き家が日本で大きな問題になっていますので、その解決策の一つとして平成28年度改正で設けられました。

この特例の適用要件として、下記があります。

  • 空き家を売却する場合にはその時点で空き家を改修するなどして耐震基準に適合させる
  • 売却時点までに相続した空き家を取り壊してその敷地を売却する

このため、これらの要件を満たしていない場合には、売主が自腹を適用要件に合うように措置する必要があります。

しかし、こうなると、売主には大きな負担になります。
このため、買主に空き家の改修費用や解体費用を負担させた上で売却すればいいと言われていました。

ただし、これにも問題があります。
それは売値の要件です。

売却代金が1億円を超えると、この特例は適用できないとされています。
買主がこれらの費用を負担した場合、その負担してもらった費用も含めて1億円の判断がなされるとされています。
結果として、売値が1億円超と判断され、適用を受けられないこともあった模様です。

これらの点を踏まえ、令和6年1月1日以後は、空き家を売却した翌年の2月15日までに、

  • 耐震基準を満たす
  • 空き家を解体する

などすれば、この特例の適用を受けることができるように改正されました。

現状は売却時に満たしていなければ空き家の改修や解体を、翌年2月15日までに満たせばいいことになる訳です。
結果として、空き家を売った後、売主ではなく買主が改修したり解体したりすることが認められ、使いやすくなると説明されています。
実際、売った後に買主が費用負担することになりますので、負担してもらった費用については現状とは、異なり売却代金には含まれず、先の1億円超となる問題も生じないと言われています。

これだけ聞くとありがたい改正と思われるかも知れませんが、必ずしもそうではありません。

なぜなら、改修や解体は買主が行うからです。
具体的には、買主が翌年2月15日までに要件を満たすためのこれらの処理を行っていなければ、売主は何にも悪くないのに、空き家特例を受けることはできないことになります。

言い換えれば、改正された後の特例を適用する場合には、売主は買主の動向をチェックすることが必須になります。

この点、改修や解体を所定の期日までに買主が行うこと、そして買主が要件を満たさない場合には売主に賠償義務があることなどを契約で取り交わすことは必須と考えられます。
もちろん、契約だけでも心許ないですから、買主の管理も適正に行う必要があります。

追伸、

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元国税調査官・税法研究者 松嶋洋とは?

元国税調査官・税理士・松嶋洋元国税調査官・税法研究者・税理士
松嶋 洋

昭和54年福岡県生まれ。平成14年東京大学卒。国民生活金融公庫(現日本政策金融公庫)、東京国税局、日本税制研究所を経て、平成23年9月に独立。
現在は税理士の税理士として、全国の税理士の税務調査や税務相談に従事しているほか、税務調査対策・税務訴訟等のコンサルティング並びにセミナー及び執筆も主な業務として活動。とりわけ、平成10年以後の法人税制抜本改革を担当した元主税局課長補佐に師事した法令解釈と、国税経験を活かして予測される実務対応まで踏み込んだ、税制改正解説テキストは数多くの税理士が購入し、非常に高い支持を得ている。
著書に『最新リース税制』(共著)、『国際的二重課税排除の制度と実務』(共著)、『税務署の裏側』、『社長、その領収書は経費で落とせます!』『押せば意外に 税務署なんて怖くない』などがあり、現在納税通信において「税務調査の真実と調査官の本音」という500回を超える税務調査に関するコラムを連載中。

参考サイト

著書

引用元: 買主の管理が必要になる- 経営・会計コンサルティング

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