個別評価が認められる前提:元国税調査官・税理士 松嶋洋が語る!税務署の実態と税務調査対策ノウハウ

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本記事は元国税調査官・税理士 松嶋洋がセブンセンスグループのメルマガに掲載したコンテンツの再掲載です。記事内で言及されている法令ならびにその解釈はメルマガ掲載時のものとなります。

相続税申告で問題になる土地の評価において、よく問題になるのは、個別評価が認められるかという点です。
個別評価とは、文字通り、土地を国税庁が決めたルールに関係なく、個別に評価することを言います。

相続税の土地の評価方法は、国税庁が定めた財産評価基本通達によって決められています。
しかし、例えば相続した土地が墓地に近いような場合、この通達で評価すると実態に合わない高い評価額になる可能性があります。
そうなると、売れない土地なのに高い相続税を払うことにもつながります。

そもそも、同じ状況の土地など存在しませんから、実際に取引される価額を時価と考えるのであれば、本来土地の評価は千差万別であるべきです。
しかし、そうなると税務署と意見が分かれることも多くありますし、何より納税者によって評価方法が異なり課税の公平から問題が生じる恐れがあります。

これらを踏まえ、相続財産の評価方法の統一的なルールとして財産評価基本通達が設けられ、相続税の計算はこれを基に評価することとされています。
税負担に不公平が生じることは許されないため、課税の公平というのは、税の大原則中の大原則です。
このため、課税の公平を守るために決めた、統一的なルールである財産評価基本通達に反した個別評価については、ほとんどのケースで認められません。

とは言え、冒頭で述べた墓地に近い土地など、明らかに土地の評価を下げるべきという事情があるケースについてまで、統一的なルールとして財産評価基本通達を強制するのもおかしいです。
このため、どういう要件を満たせば個別評価が認められるのか、往々にして問題になります。

この点は明確ではありませんが、絶対に外してはいけないポイントがあります。
それは、個別評価をすべき事情が、既に財産評価基本通達に反映されている場合には、個別評価は認められないという点です。

具体例を申しますと、例えば相続した土地が騒音が大きな土地とします。
この場合、土地の評価は下がるはずなので個別評価が認められると考えがちです。

しかし、財産評価基本通達の土地の評価は、原則として国税庁が取引事例などを踏めて道路ごとに定める路線価を基礎としています。
この路線価は毎年実態を踏まえて変わりますので、すでに騒音による評価減を踏まえて下がった金額となっている場合があります。

この場合には、路線価において騒音の影響を踏まえているのに、さらに相続税評価を下げる個別評価をする必要性はありません。
このため、このような場合個別評価は絶対に認められません。

すなわち、個別評価をする場合には、路線価などに個別評価すべき事情が反映されているか、必ず確認する必要があります。
土地評価の専門家の評価額や現地の不動産業者の相場観なども把握して反映されているかどうかを確認した上で、最終的には税務署と交渉して税務調査で認めさせる必要があります。

このように考えるとやはり個別評価は認められる確率はやはり低いですから、慎重に対応する必要があります。

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元国税調査官・税法研究者 松嶋洋とは?

元国税調査官・税理士・松嶋洋元国税調査官・税法研究者・税理士
松嶋 洋

昭和54年福岡県生まれ。平成14年東京大学卒。国民生活金融公庫(現日本政策金融公庫)、東京国税局、日本税制研究所を経て、平成23年9月に独立。
現在は税理士の税理士として、全国の税理士の税務調査や税務相談に従事しているほか、税務調査対策・税務訴訟等のコンサルティング並びにセミナー及び執筆も主な業務として活動。とりわけ、平成10年以後の法人税制抜本改革を担当した元主税局課長補佐に師事した法令解釈と、国税経験を活かして予測される実務対応まで踏み込んだ、税制改正解説テキストは数多くの税理士が購入し、非常に高い支持を得ている。
著書に『最新リース税制』(共著)、『国際的二重課税排除の制度と実務』(共著)、『税務署の裏側』、『社長、その領収書は経費で落とせます!』『押せば意外に 税務署なんて怖くない』などがあり、現在納税通信において「税務調査の真実と調査官の本音」という500回を超える税務調査に関するコラムを連載中。

参考サイト

著書

引用元:個別評価が認められる前提– セブンセンスグループ – 経営・会計コンサルティング

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