2024年6月の税理士業界ニュースをお届けします。
今回は2024年6月12日、25日のコメント
- 大手法律事務所の弁護士らが税理士から詐欺被害、8,700万円
- 税務調査でお笑い芸人と認めず
の2件をご紹介します。
大手法律事務所の弁護士らが税理士から詐欺被害、8,700万円
詐欺被害者を弁護する側の弁護士が、自ら詐欺事件の被害者になるとは誰が想像したでしょうか。しかも、逮捕されたのは、弁護士事務所の顧問をしていた税理士だと言います。
今回、税理士による詐欺事件に関する記事が、DIAMONDonlineからリリースされています。
東京地検特捜部は6月5日、税務顧問契約を結ぶ法律事務所の弁護士34人から約8700万円をだまし取ったとして、東京の税理士を逮捕した。税理士が弁護士をだましたとされる異例の事件だが、取材を進めたところ、被害に遭った法律事務所は国内有数の大手とみられ、さらに逮捕された税理士は有名作家の親族であることが明らかになった。
【引用元:「超大手法律事務所」弁護士34人が8700万円の詐欺被害か、逮捕の税理士は有名作家の親族(DIAMONDonline 2024年6月12日付)】
記事によると、容疑者である税理士は、税務顧問契約を結んでいた法律事務所に所属する34人の弁護士から、共済金の掛け金名目で約8700万円をだまし取った疑いがあると伝えられています。弁護士からだまし取った金は、自身の借金返済などに充てていたそうです。
弁護士法上、弁護士資格を持つ者は税理士業務を行うことができるとされています。にもかかわらず、税の専門家である顧問税理士が節税になるとアドバイスをすれば、たとえ弁護士であっても、信頼して掛け金を支払ってしまうのが現実です。税務顧問の立場を利用した信用失墜行為であり、厳しい罰が求められます。
税務調査でお笑い芸人と認めず
芸人の年収が2万円のお笑い芸人に税務調査が入りました。果たして、どのような理由で税務署から目をつけられてしまったのでしょうか。
今回、お笑い芸人への税務調査に関する記事が、日刊スポーツからリリースされています。
お笑いトリオ、みちがえるの、たけし(39)が24日放送の日本テレビ系「大悟の芸人領収書」(月曜深夜11時59分)に出演し、税務署にプロ芸人と認めさせるため格闘した過去を明かした。
【引用元:年収少なすぎたお笑い芸人に税務調査「あなたを芸人と認めません」2カ月格闘の末…(日刊スポーツ 2024年6月25日付)】
記事によると、水道検針員のバイトが年収200万円、芸人が年収2万円ぐらいであったため、税務調査で「芸人と認められない」と言われたそうです。ですが、隠れてライブを見た税務官が、全くウケていないのに最後まで汗を流しながらネタをやる姿を見て、最終的には芸人と認めてくれたとのこと。
税務調査が入った側の大変さはさることながら、2ヶ月におよびぶ税務調査で、ネタ動画を見たり、ライブ会場にまで足を運んだりと、税務官の地道な行動の積み重ねは目を引くものがあります。
一方、芸人として認められなかった場合、必要経費として申告したものが全て税務否認されることになり、その分の所得税に加えて延滞税なども課税されることになります。芸人として認められるかどうかは、たけし氏にとって、最悪の場合、身銭を切ることにつながる切実な問題でもあるわけです。
ですが、税務調査が入ったからといって過度に怖がることなく、税務官の要請に対して協力的な姿勢で申告内容に間違いがないことを証明していけば、なんの問題もありません。
今回取り上げたニュース
- 「超大手法律事務所」弁護士34人が8700万円の詐欺被害か、逮捕の税理士は有名作家の親族(DIAMONDonline 2024年6月12日付)
- 年収少なすぎたお笑い芸人に税務調査「あなたを芸人と認めません」2カ月格闘の末…(日刊スポーツ 2024年6月25日付)
(著者:大津留ぐみ / 大津留ぐみの記事一覧)