問だらけの動画費用の取扱い:元国税調査官・税理士 松嶋洋が語る!税務署の実態と税務調査対策ノウハウ

元国税調査官が税務調査対策すべてお話しします_元国税調査官・税理士_松嶋洋

本記事は元国税調査官・税理士 松嶋洋がセブンセンスグループのメルマガに掲載したコンテンツの再掲載です。記事内で言及されている法令ならびにその解釈はメルマガ掲載時のものとなります。

youtuberが人気の職業になるなど、動画配信事業を行う方も増えており、一般企業も動画配信を使った販売促進活動を行うことは今では普通になっています。

その反面、動画配信に係る費用の取扱いは税務上不透明であり、多くの疑義があります。

現状、参考になる唯一の見解と思われるのは、とある専門雑誌のコラムの記述です。

このコラムにおいては、PRに使う動画の制作費用に関する取扱いが述べられており、その費用は原則として広告宣伝費として一括で費用処理することができるとされています。

しかし、その一方で、複数年使う動画であれば、その使用可能期間に応じて少しずつ費用処理するべきといった記述もなされており、どっちつかずの結論になっています。

言うまでもなく、youtubeなどにアップした動画は、半永久的に使えるものです。広告効果を高めるなら、別途リスティング費用をかけて目立たせるようなことも必要になります。

しかし、使用可能期間はいつまでも、としか言いようがありません。

そうなると、動画作成費用は一括で広告宣伝費として処理できないことはもちろん、いつまでも使用可能なので経費にすること自体難しいのではないか、といった指摘がなされることもあります。

更に困ったことに、動画制作費用は非常に高額になりますから、取扱いを誤ると後日多額の税金が課税されることになります。

このため、税務当局は早急に明確なルールを公開するべきと考えますが、動画が一般的になった現在においても、未だに明確な見解は見られません。

非常に困りますが、ルールが明確にされず、かつ使用可能期間も何年か分からない以上、一括で費用として処理せざるを得ないように考えています。

少し脱線しますが、この動画配信費用のように法律を読んでも取扱いが分からない部分は、その金額が大きければすべからく税務署の確認を取っておくべきです。

税務署の確認をもらっても絶対にOK、という訳ではありませんが、税務調査の交渉材料になりますし、場合によっては税務調査のペナルティーである加算税も減免されます。

このため、電話で言質を取るくらいでいいので、積極的に税務署を活用するべきです。

話は多少変わりますが、動画の編集を個人事業主に依頼する場合に支払う報酬について、源泉所得税の対象になるかもよく問題になります。

インターネットでは見解が分かれているようですが、これについては法律の規定などを前提とする限り、課税対象にならないと考えられます。

とはいえ、この編集費用も含めて、現状問題になっている動画配信の費用は、動画配信がない時代に作られた法律を前提に考えざるを得ず、不透明な部分が多くあります。

早めに税務当局は見解を公表すべきでしょう。

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元国税調査官・税法研究者 松嶋洋とは?

元国税調査官・税理士・松嶋洋元国税調査官・税法研究者・税理士
松嶋 洋

昭和54年福岡県生まれ。平成14年東京大学卒。国民生活金融公庫(現日本政策金融公庫)、東京国税局、日本税制研究所を経て、平成23年9月に独立。
現在は税理士の税理士として、全国の税理士の税務調査や税務相談に従事しているほか、税務調査対策・税務訴訟等のコンサルティング並びにセミナー及び執筆も主な業務として活動。とりわけ、平成10年以後の法人税制抜本改革を担当した元主税局課長補佐に師事した法令解釈と、国税経験を活かして予測される実務対応まで踏み込んだ、税制改正解説テキストは数多くの税理士が購入し、非常に高い支持を得ている。
著書に『最新リース税制』(共著)、『国際的二重課税排除の制度と実務』(共著)、『税務署の裏側』、『社長、その領収書は経費で落とせます!』『押せば意外に 税務署なんて怖くない』などがあり、現在納税通信において「税務調査の真実と調査官の本音」という500回を超える税務調査に関するコラムを連載中。

参考サイト

著書

引用元:問だらけの動画費用の取扱い– セブンセンスグループ – 経営・会計コンサルティング

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