キャバクラキャストはやはり給与としか言いようがない:元国税調査官・税理士 松嶋洋が語る!税務署の実態と税務調査対策ノウハウ

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本記事は元国税調査官・税理士 松嶋洋がセブンセンスグループのメルマガに掲載したコンテンツの再掲載です。記事内で言及されている法令ならびにその解釈はメルマガ掲載時のものとなります。

税務調査では人に対する支払いについて、税務上不利な給与になるか、それとも有利な外注費になるかが往々にして問題になります。

中でも、キャバクラキャストに対する支払いは税理士の中では議論の対象になっており、実務では外注費として処理することが多い反面、判例などを検討すると、むしろ給与になることが近いように考えられています。

給与になるか外注費になるか、その判断はシンプルに言えば、給与であれば雇い主に拘束される側面が多く、外注費であればそうではない、と説明されます。

ここでいう「拘束」ですが、時間的に拘束されたり(勤務時間が雇い主に決められている)、空間的に拘束されたり(勤務場所が決められている)する程度で見る、と言われます。

しかし、建設業などを考えていただければわかりますが、外注先に対しても勤務時間や勤務場所を元請が指定することはよくありますので、給与と外注費の差はよく分かりません。

とは言え、キャバクラキャストは働く時間も働く場所も事前に決められていますから、むしろその報酬は給与に近いと言われます。

しかし、実務においてキャバクラキャストへの支払いは外注費として処理することが圧倒的に多く、かつ税務調査で是正されることは多くありません。

この理由は、給与と外注費の区分は税務署にとっても難しいため、仕事をしたくない税務職員は敢えて是正しないで放置することも多いからです。

こういう訳で、本来給与となるはずのキャバクラキャストの報酬を、実務では外注費としていることが多い訳ですが、先日給与と判断された裁判例があります。

ここでは、給与となる根拠として、「本件各キャストは、客から直接代金の支払を受けることはなく、売掛金の回収のリスクを負担することもない」からと判断されています。

前述したとおり、給与と外注費の区分は「拘束」で見るとされていますが、この判決は「拘束」という要件以外に、「売掛金の回収リスク」という要件も考慮しており、新しい判断がなされていると言えます。

このような判断がなされたのは、外注ということはフリーランスであり、フリーランスである以上、売上の回収にも責任をもって当たり前、ということだと考えられます。

しかし、キャバクラキャストが顧客から直接キャバクラ店の売上を回収する、ということはほどんどないと思います。

売上を持ち逃げされるリスクもありますから、キャバクラ店としても売上代金の回収は店側で行わないと困るでしょう。

このような判断を前提とすると、キャバクラキャストへの報酬は外注費として処理することは非常に大きなリスクがある、ということになります。

とりわけ、インボイス制度もスタートし、外注費とするのであればキャバクラキャストから請求書を出してもらう必要もありますので、より厳しい判断がなされるケースが増えると想定されます。

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元国税調査官・税法研究者 松嶋洋とは?

元国税調査官・税理士・松嶋洋元国税調査官・税法研究者・税理士
松嶋 洋

昭和54年福岡県生まれ。平成14年東京大学卒。国民生活金融公庫(現日本政策金融公庫)、東京国税局、日本税制研究所を経て、平成23年9月に独立。
現在は税理士の税理士として、全国の税理士の税務調査や税務相談に従事しているほか、税務調査対策・税務訴訟等のコンサルティング並びにセミナー及び執筆も主な業務として活動。とりわけ、平成10年以後の法人税制抜本改革を担当した元主税局課長補佐に師事した法令解釈と、国税経験を活かして予測される実務対応まで踏み込んだ、税制改正解説テキストは数多くの税理士が購入し、非常に高い支持を得ている。
著書に『最新リース税制』(共著)、『国際的二重課税排除の制度と実務』(共著)、『税務署の裏側』、『社長、その領収書は経費で落とせます!』『押せば意外に 税務署なんて怖くない』などがあり、現在納税通信において「税務調査の真実と調査官の本音」という500回を超える税務調査に関するコラムを連載中。

参考サイト

著書

引用元:キャバクラキャストはやはり給与としか言いようがない– セブンセンスグループ – 経営・会計コンサルティング

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