2024年2月の税理士業界ニュースをお届けします。
今回は2024年1月29日、2月13日のニュース
- 公認会計士による脱税事件4億3千万円の所得隠し
- 税務職員が女性に対するわいせつ容疑で逮捕
の2件をご紹介します。
公認会計士による脱税事件4億3千万円の所得隠し
税理士法第1条では、納税義務の適正な実現を図ることが税理士の使命であると規定されています。顧問先の利益になるからといって、脱税の手助けをしてよいはずがないのですが、あってはならない脱税事件が起きてしまいました。
公認会計士による脱税事件に関する記事が、NHKからリリースされています。
ドラッグストアなどを運営する東京の会社の実質経営者と、公認会計士が、土地の売買などで得た利益、4億3000万円余りを隠し、1億円余りの法人税を脱税したとして、東京国税局から告発されました。
引用元:土地売買で得た利益など隠し脱税か 会社の実質経営者ら告発(NHK 2024年1月29日付)
記事によると、実質経営者とこの会社の確定申告業務などを担当していた顧問税理士である公認会計士は、架空の経費を計上して不動産の売買で得た会社の利益4億3000万円余りを隠し、1億円余りを脱税した疑いがあるとのことで、法人税法違反などの容疑で告発されたとのことです。
税理士法第45条第1項によれば、税理士が故意に脱税相談等の行為をした場合、2年以内の税理士業務の停止又は税理士業務の禁止の処分を課される可能性があります。さらに、公認会計士は、税理士法違反による業務停止処分が行われた場合、公認会計士法第26条(信用失墜行為違反)により、業務停止処分が下される可能性もあります。本件は公認会計士全体の社会的な信頼も失うことにも繋がりかねず、厳しい責任が問われそうです。
税務署職員が女性に対するわいせつ容疑で逮捕
税務署職員は「誠実さ」や「綱紀を厳正に保持すること」ことが行動規範として定められています。そのため税務署職員は、社会的に信頼される職業のひとつと言えます。ところが残念なことに税務署員による不祥事が立て続けに起きています。
今回、神戸新聞NEXTから、税務署員逮捕に関する記事がリリースされています。
兵庫県警網干署は13日、不同意わいせつの疑いで、明石税務署の職員の男(55)=姫路市=を逮捕した。
引用元:不同意わいせつ容疑で税務署職員の男逮捕 網干署(神戸新聞NEXT 2024年2月13日付)
記事によると、女性が夜道を一人で歩く男を見つけ「道に迷っている」と思い、男の目的地が自分の行く方向と同じだったため車に乗せて送り届けたのに、別れ際に男からわいせつな行為をされて女性が被害届出を提出したと伝えられています。
女性の親切を仇で返すようなわいせつ行為は、卑劣で、とても許されるものではありません。税務署職員として55歳までキャリアを積み上げてきたわけですが、自分のキャリアが失われただけではなく、広く税務署職員に対する信頼低下に繋がってしまったことについても、深く反省してもらいたいです。
今回取り上げたニュース
(著者:大津留ぐみ / 大津留ぐみの記事一覧)