「相当の理由」と「やむを得ない事情」:元国税調査官・税理士 松嶋洋が語る!税務署の実態と税務調査対策ノウハウ

元国税調査官が税務調査対策すべてお話しします_元国税調査官・税理士_松嶋洋

本記事は元国税調査官・税理士 松嶋洋がセブンセンスグループのメルマガに掲載したコンテンツの再掲載です。記事内で言及されている法令ならびにその解釈はメルマガ掲載時のものとなります。

令和5年度改正においては、電子取引のデータ保存について、現状の令和5年12月31日までの猶予措置を廃止した上で、「相当の理由」があって所定の方法で紙保存をするなど一定の要件を満たせば、検索要件や真実性の要件などの一切の要件を必要とすることなく電子保存ができるという改正が行われます。

令和3年度改正で創設された、電子取引のデータ保存の義務化は対応が困難であるということで、令和4年度改正において適用が猶予されていますが、さらに一歩進んで、実質的に電子取引のデータをそのまま保存した上で所定の方法による紙保存もすれば、税法上は原則として問題ないとされます。

この改正に対しては好意的に受け取ることが多く、「紙保存がOKになる」と声高に解説するyoutuberの税理士の方も多くいらっしゃいます。

しかし、改正は「相当の理由」があって認められる取扱いとされていますので、法律的には安易に紙保存が認められる訳ではありません。

この点、会計システムベンダ―の方から、「相当の理由って何ですか?」といった問い合わせも受けましたが、システム対応が難しいことや、金銭面で対応が難しいケースが考えられているようです。

しかし、このような取扱いは法律的には正しくありません。
この改正は、法律的には現状の猶予措置よりも厳しい要件が要請されると解釈されているからです。

現状の猶予措置は「やむを得ない事情」がある場合に認められるとされていますが、法律用語において「相当の理由」は「やむを得ない事情」よりもハードルが高い場合に使われる用語とされているからです。

現状の猶予措置は、一例として電子保存のシステムを社内で揃えることが困難な場合などに認められるとされていますので、それ以上に困難な状況が存在しないと、この改正は適用できないということになります。

となると、この改正は安易に使えないはずですが、実務上税務署が厳しい対応をする確率は高くありません。

なぜなら、税務署にとっては経理資料が電子保存されていようが紙保存されていようが、事実確認ができればいい話だからです。
このため、法律に関係なく、電子保存されていなくても紙で保存しておけば、税務署は基本問題なしと判断します。

こういう訳で、「やむを得ない事情」も「相当の理由」がなくても、紙保存していれば問題なし、というのが税務署の本音です。
このため、原則として紙保存で問題ないものの、法律上のルールはそうはなっていないことを押さえておくべきでしょう。

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元国税調査官・税法研究者 松嶋洋とは?

元国税調査官・税理士・松嶋洋元国税調査官・税法研究者・税理士
松嶋 洋

昭和54年福岡県生まれ。平成14年東京大学卒。国民生活金融公庫(現日本政策金融公庫)、東京国税局、日本税制研究所を経て、平成23年9月に独立。
現在は税理士の税理士として、全国の税理士の税務調査や税務相談に従事しているほか、税務調査対策・税務訴訟等のコンサルティング並びにセミナー及び執筆も主な業務として活動。とりわけ、平成10年以後の法人税制抜本改革を担当した元主税局課長補佐に師事した法令解釈と、国税経験を活かして予測される実務対応まで踏み込んだ、税制改正解説テキストは数多くの税理士が購入し、非常に高い支持を得ている。
著書に『最新リース税制』(共著)、『国際的二重課税排除の制度と実務』(共著)、『税務署の裏側』、『社長、その領収書は経費で落とせます!』『押せば意外に 税務署なんて怖くない』などがあり、現在納税通信において「税務調査の真実と調査官の本音」という500回を超える税務調査に関するコラムを連載中。

参考サイト

著書

引用元:「相当の理由」と「やむを得ない事情」 – セブンセンスグループ – 経営・会計コンサルティング

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