2023年12月の税理士業界ニュースをお届けします。
今回は2023年12月7日、22日のニュース
- 親子で無資格の税理士業務を行い逮捕
- 執拗な誘いを断りきれなかった税理士が脱税に加担
の2件をご紹介します。
親子で無資格の税理士業務を行い逮捕
税理士でない者が税務代理、税務書類の作成、税務相談を行うことは税理士法により禁じられています。
今回、埼玉新聞から、無資格で税理士業務を行って逮捕された親子に関する記事がリリースされました。
無資格で税理士業務を行っていたとして、埼玉県警生活経済課と川越署の合同捜査班は6日、税理士法違反の疑いで、いずれも川越市新宿町1丁目、司法書士と行政書士の父親(87)と無職の娘(57)を逮捕した。
記事によると、男性は以前税理士事務所に勤務していた経験を活かして、その後開設した法務事務所でも税理士業務を請け負っていたと伝えられています。男性の娘はデータ入力を行っていたそうです。会計事務所で勤務経験があるのですから、わかっているはずだと思うのですが…。
また、司法書士といえば法律の専門家のはずです。違法行為と承知の上で、軽い気持ちで請け負ってしまったのでしょうか。せっかく積み上げてきたキャリアに傷をつけてしまう今回の行為。残念でなりません。
執拗な誘いを断りきれなかった税理士が脱税に加担
税理士は、税金を正しく納めるよう納税者を指導する立場にあるはず。その税理士が脱税に加担したとして、ニュースに取り上げられています。
今回、脱税ビジネスに関与した元税理士に関する記事を、日本経済新聞がリリースしています。
企業に脱税スキームを提供するグループの一員として、11月に大阪地裁で有罪判決を受けた60代の元税理士。(中略)「だめです、明らかな脱税ですよ」。元税理士は直ちに違法性に気づき、にべもなく断った。それでも諦めない役員から勧誘を受け続け、最終的に参加を承諾した。
引用元:「闇落ち」した税理士 国際的脱税(日本経済新聞 2023年12月22日付)
記事によると、元税理士はシンガポールを拠点に海外法人の設立や企業の海外進出支援を手掛けていた男性で、執拗な勧誘を拒めず、最終的に脱税への協力を承諾してしまったとのこと。今後は自分のノウハウや経験を、不正を摘発する側で使いたいと述べたと伝えられています。
税理士は租税に関して不正な行為が行われていると知った場合に是正をするよう助言する立場にあります。税理士としての倫理観を発揮し、脱税だと知った時点で毅然とした態度で拒否していれば、脱税に加担せずに済んだのではないかと思ってしまいます。
(著者:大津留ぐみ / 大津留ぐみの記事一覧)