未だに先の状況が見通せないコロナ禍ですが、国税もコロナ禍では在宅勤務を取り入れていました。
2020年春の、第一回目の緊急事態宣言の折には、税務調査をストップさせて在宅勤務を導入していましたが、気になるのは、在宅勤務で職員が何をやっているかです。
在宅勤務を導入する場合、言うまでもなく必ず必要になるのはオンライン環境です。
現状も、守秘義務の関係上メールもFAXも無理といっていた国税が、在宅勤務する職員の自宅と国税のシステムをオンラインで結ぶ、といった処置をすることはまず考えられません。
となると、税務署内で行うべき業務を在宅勤務で行うことはできないでしょう。
仮に、上記のようなオンライン化ができたとしても、税務署で内勤している職員は別にして、税務調査を担当する国税調査官は、そもそも在宅で勤務することができないという現実もあります。
彼らの仕事は税務調査である以上、原則として納税者と接触しなければ仕事ができません。
民間企業とは異なり、これまた守秘義務の関係でwebカメラを使ったオンラインの税務調査もできませんから、冗談抜きで仕事がない状況と考えられます。
このあたり、いろいろと情報を集めてみますと、聞こえてくるのは税務調査の研修を行っていた、という話のようです。ご苦労なことに、国税庁の職員などが税務調査の研修資料を大量に作成した模様です。
それを宿題のような形で、在宅勤務を行う税務調査担当の調査官に配布して、彼らの自宅で研修させていた、ということのようです。
私自身も繰り返し指導されていましたが、国税職員は研修について、基本的には寝るものという理解をしています。このため、自宅で研修していました、といってもろくに勉強していないというのは容易に想定できます。
本来、研修の実績などは上司が管理するべきですが、基本的にこのような管理は面倒なのでしていないと思われます。
以上を踏まえると、「在宅勤務」と言いながら、その実は「休暇」ではないか、と疑わざるを得ません。
話を戻しますが、国税庁の職員が作った大量の研修資料は、おそらく「在宅勤務の言い訳」でしょう。コロナ禍で在宅勤務を導入せざるを得ないものの、血税を使って何も仕事をしていないとなると国民の厳しい目にさらされますので、こんなに仕事をしています、というアピールを作っておく必要があり、それが先の研修資料の意義と考えられます。
こういう状況と解釈できますので、やはり国税職員は最近目立つ持続化給付金詐欺などを防止するため、給付金の審査を在宅勤務で行うべきであったと考えます。
国税は経済産業省と仲が悪いので、持続化給付金など関係ねえ、と思っていたのかも知れませんが。
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元国税調査官・税法研究者 松嶋洋とは?
元国税調査官・税法研究者・税理士
松嶋 洋
昭和54年福岡県生まれ。平成14年東京大学卒。国民生活金融公庫(現日本政策金融公庫)、東京国税局、日本税制研究所を経て、平成23年9月に独立。
現在は税理士の税理士として、全国の税理士の税務調査や税務相談に従事しているほか、税務調査対策・税務訴訟等のコンサルティング並びにセミナー及び執筆も主な業務として活動。とりわけ、平成10年以後の法人税制抜本改革を担当した元主税局課長補佐に師事した法令解釈と、国税経験を活かして予測される実務対応まで踏み込んだ、税制改正解説テキストは数多くの税理士が購入し、非常に高い支持を得ている。
著書に『最新リース税制』(共著)、『国際的二重課税排除の制度と実務』(共著)、『税務署の裏側』、『社長、その領収書は経費で落とせます!』『押せば意外に 税務署なんて怖くない』などがあり、現在納税通信において「税務調査の真実と調査官の本音」という500回を超える税務調査に関するコラムを連載中。