このコーナーでは、元国税調査官・税法研究者・税理士である松嶋洋氏のFacebookでのコメントをご紹介していきます。
今回は2023年4月3日、8日、10日のコメント
- 相続時の2割特例適用の可否
- 相続時精算課税制度改正
- 役員報酬算出の妥当性
の3件をご紹介します。
相続時の2割特例適用の可否
インボイス制度の施行が令和5年10月に迫る中、会計事務所のみなさんは、例年を上回る忙しさで繁忙期を迎えているのではないでしょうか。そんな中、特例制度が出るようです。
週刊税務通信No.3746(2023.03.27号)では、インボイス登録後の相続については、事業者の納税額を、売上税額の2割とする措置(2割特例)が認められる見込みだと伝えられています。
これに対してFacebookで、松嶋先生は、「この特例制度はケアレスミスが起きやすそうなので、事後修正可能な仕組みのほうがありがたい」と制度の煩雑さを指摘しています。
2割特例を受けるためには、インボイス発行事業者として課税事業者に登録後に相続する必要があるということなので、相続人に対して忘れずにアドバイスをする必要がありそうですね。
相続時精算課税制度改正
令和5年度税制改正で、相続時精算課税制度における110万円の基礎控除が創設される見込みです。
今回の週刊税務通信No.3747(2023.04.03号)では、相続時精算課税制度の基礎控除の創設で、110万円未満の範囲での贈与は、贈与税が課税されないことはもちろん、贈与税の申告も不要になると伝えられています。
これに対してFacebookで、松嶋先生は、「2,500万円の特別枠では申告が必要になるので間違えないように」と注意喚起されています。
相続税については、相続前贈与の加算期間の延長や(3年から7年に延長)、教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の適用期限の延長など、改正項目が多く、相続税対策の見直しが必要になるかもしれません。
役員報酬算出の妥当性
業績が良ければ、それに連動して役員報酬が増額されることはありますが、今回は、売上総利益が前年並にも関わらず役員報酬が総額で8倍になっているということで、訴訟が提起されたようです。
週刊税務通信No.3747(2023.04.03号)では、23億円支給された役員報酬のうち19億円が過大と裁判所が判断した事例について伝えられています。
これに対してFacebookで、松嶋先生は、業績が上がった場合も類似法人とくらべて否認されることがあるので、交渉でなんとかしないといけないとコメントしています。
今回、国が行った更正処分と判決に対しては、妥当な結論と納得する方も多いのではないでしょうか。
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元国税調査官・税法研究者 松嶋洋とは?
元国税調査官・税法研究者・税理士
松嶋 洋
平成14年東京大学卒業後、国民生活金融公庫(現日本政策金融公庫)、東京国税局、企業税制研究所(現日本税制研究所)を経て、平成23年9月に独立。
現在は通常の顧問業務の他、税務調査対策等のコンサルティング並びにセミナー及び執筆も主な業務として活動。とりわけ、平成10年以後の法人税制抜本改革を担当した元主税局課長補佐に師事した法令解釈をフル回転させるとともに、当局の経験を活かして予測される実務対応まで踏み込んで解説した、税制改正解説テキスト「超速」シリーズは毎年数百名の税理士が購入し、非常に高い支持を得ている。
著書に『最新リース税制』(共著)、『国際的二重課税排除の制度と実務』(共著)、『税務署の裏側』『社長、その領収書は経費で落とせます!』などがあり、現在納税通信において「税務調査の真実と調査官の本音」という200回を超えるコラムを連載中。
参考サイト
著書
(著者:大津留ぐみ / 大津留ぐみの記事一覧)