このコーナーでは、元国税調査官・税法研究者・税理士である松嶋洋氏のFacebookでのコメントをご紹介していきます。
今回は11月30日、12日10日、15日のコメント「電帳法義務化は廃案にすべきか」「返済不能な被相続人貸付金の相続税評価」「インボイス制度と交際費の計算」の3件をご紹介します。
電帳法義務化は廃案にすべきか
電帳法の改正時期が近づいてきました。一方、現状の業務を見ると、書面書類が書類の大半を占めており、改正までに電子保存の体制を整えられるか、不安に思っている企業も多いのではないでしょうか。
税務通信No.3729(2022.11.21)では、電子保存の義務化について、法令対応だけではメリットがないとした上で、今回の電帳法の改正は電子化を推進させるための改正だと伝えられています。
これに対してFacebookで、松嶋先生は、中小企業は電子化のコストを負担できないと指摘し、電子保存の義務化は廃止して選択性にするのが企業のためだとコメントしています。
電帳法が改正される2024年1月まであと1年しかありません。対応遅れの企業に対しては、例外的に紙での保存も認めることも検討しているという報道なども出ていますが、果たして、すべての企業が電子保存の準備をすることができるのでしょうか。
返済不能な被相続人貸付金の相続税評価
被相続人の同族会社への貸付金の評価は、どのような場合に回収不能とみなされるのでしょうか。
税のしるべ(令和4年11月28日号)によると、相続財産である貸付金が回収不能かどうか争われましたが、少しでも返せる余地がある場合は回収不能とは認められないとし、否認されたと伝えられています。
これに対してFacebookで、松嶋先生は、中小企業は身銭を切って会社を守っているのに、1円も返ってこない代表者借入金に相続税をかけるのは酷だと苦言を呈しています。
今後、中小企業では、経営者の高齢化で世代交代が進むものと予想されていますが、返済不可能な多額の代表者借入金にかかる相続税がネックとなり、家族が事業承継できない可能性も出てきかねません。スムーズに世代交代を進めるためにも、代表者借入金は財政の実態を見て評価することはできないものでしょうか。
インボイス制度と交際費の計算
インボイス制度で免税事業者から仕入れる場合の留意点があります。
税務通信No.3729(2022.11.21)によると、免税事業者からの仕入を交際費で処理する場合、インボイス制度の経過措置で80%を仕入税額控除した場合の差額の20%は、交際費に含まれると伝えられています。
これに対してFacebookで、松嶋先生は、インボイスの処理の複雑さを指摘します。
インボイス制度は、細かな計算にも影響を及ぼすということで、初年度は留意して処理する必要がありそうです。
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元国税調査官・税法研究者 松嶋洋とは?
元国税調査官・税法研究者・税理士
松嶋 洋
平成14年東京大学卒業後、国民生活金融公庫(現日本政策金融公庫)、東京国税局、企業税制研究所(現日本税制研究所)を経て、平成23年9月に独立。
現在は通常の顧問業務の他、税務調査対策等のコンサルティング並びにセミナー及び執筆も主な業務として活動。とりわけ、平成10年以後の法人税制抜本改革を担当した元主税局課長補佐に師事した法令解釈をフル回転させるとともに、当局の経験を活かして予測される実務対応まで踏み込んで解説した、税制改正解説テキスト「超速」シリーズは毎年数百名の税理士が購入し、非常に高い支持を得ている。
著書に『最新リース税制』(共著)、『国際的二重課税排除の制度と実務』(共著)、『税務署の裏側』『社長、その領収書は経費で落とせます!』などがあり、現在納税通信において「税務調査の真実と調査官の本音」という200回を超えるコラムを連載中。
<参考サイト>
<著書>
(著者:大津留ぐみ / 大津留ぐみの記事一覧)