このコーナーでは、元国税調査官・税法研究者・税理士である松嶋洋氏のFacebookでのコメントをご紹介していきます。
今回は5月3日、10日、24日のコメント「税理士報酬支払拒絶は認められるか」「労災保険特別加入制度の課税関係」「評価額算定方法巡る訴訟再び」の3件をご紹介します。
税理士報酬支払拒絶は認められるか
相続税申告を税理士に依頼する人の中には、驚くような行動をする人もいるようです。
今回、週刊T&Aマスター(2022年4月18日号・No927)では、税理士が作成した申告書を使わず、税理士に対する申告報酬の支払いを拒絶した件について伝えられています。
これに対してFacebookで、松嶋先生は、報酬の支払を拒絶できないのは当然である一方で、税理士側もお客様選びやお金を取るタイミングについて気を付けなければならないとアドバイスしています。
相続税は、日頃税務に接する機会がない人から依頼されるケースも多々あります。想定していないトラブルが起きないためにも、重要な契約条項について確認を行うようにしたいものです。
労災保険特別加入制度の課税関係
役員であっても、中小企業で労働者に準じて保護することが適当と認められるケースでは、労災保険の任意加入(特別加入制度)が認められています。
週刊税務通信No.3702(2022年5月9日号)では、特別加入制度の保険料の課税関係について伝えられています。
これに対してFacebookで、松嶋先生は、損金と誤解しやすいケースであり、自身も研鑽に努めないといけないとコメントしています。
特別加入制度を利用している顧問先がある会計事務所の方は、再度、課税関係を確認してみても良いかもしれません。
建物の評価額算定方法巡る訴訟再び
タワマンの路線価方式による評価の是非を問う最高裁判決で、国税が勝訴した事例は、記憶に新しいところです。
今回、税のしるべ電子版(2022年5月11日付)では、建物の評価額が過大か否か争われた事例について伝えられています。
これに対してFacebookで、松嶋先生は、適切な基準が分からないまま否認されるので評価は恐ろしいと、判断根拠が明確になっていないことに対して苦言を呈しています。
税理士としては、納税者が有利になるように、様々なシュミレーションを行い評価額を下げる努力をしています。明確な根拠に沿って安心して評価できるような法整備を期待します。
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元国税調査官・税法研究者 松嶋洋とは?
元国税調査官・税法研究者・税理士
松嶋 洋
平成14年東京大学卒業後、国民生活金融公庫(現日本政策金融公庫)、東京国税局、企業税制研究所(現日本税制研究所)を経て、平成23年9月に独立。
現在は通常の顧問業務の他、税務調査対策等のコンサルティング並びにセミナー及び執筆も主な業務として活動。とりわけ、平成10年以後の法人税制抜本改革を担当した元主税局課長補佐に師事した法令解釈をフル回転させるとともに、当局の経験を活かして予測される実務対応まで踏み込んで解説した、税制改正解説テキスト「超速」シリーズは毎年数百名の税理士が購入し、非常に高い支持を得ている。
著書に『最新リース税制』(共著)、『国際的二重課税排除の制度と実務』(共著)、『税務署の裏側』『社長、その領収書は経費で落とせます!』などがあり、現在納税通信において「税務調査の真実と調査官の本音」という200回を超えるコラムを連載中。
<参考サイト>
<著書>
(著者:大津留ぐみ / 大津留ぐみの記事一覧)