2021年12月の税理士業界ニュースをお届けします。
「調査件数半減するも追徴税額は過去10年で最高」「大阪不動産会社らが海外会社を使った脱税容疑」の2本です。
調査件数半減するも追徴税額は過去10年で最高
2020年7月から2021年6月までの1年間は、緊急事態宣言が何度も発出されたり、オリンピック始まって以来はじめての延期になるなど、歴史上類を見ない異例づくめの年になりました。国税庁による実地税務調査も、コロナ禍で、長期間に渡り見合わせが続いていました。
今回、国税庁の相続税の実地調査に関する記事を、日本経済新聞がリリースしています。
国税庁は16日、2021年6月までの1年間(20事務年度)に全国の国税局などが実施した相続税の実地調査件数が前年度より52%減の5106件だったと発表した。
引用元:相続税調査件数5割減、国税庁 22億円超の申告漏れ例も(日本経済新聞 2021年12月16日付)
記事では、実地調査件数の減少は、新型コロナウイルス禍で緊急事態宣言が発令されて、対面による調査が困難になったことが原因で、件数の減少に比例して申告漏れ額も前年度比41%になったと伝えられています。一方で、大口事案を重点調査したことで、追徴税額は過去10年で最高になったということです。
国税庁のWebサイトでは、令和2事務年度における相続税の調査状況に関する報道資料がリリースされています。
アフターコロナでは、企業の会議室などで企業のPCを利用して行う「リモート税務調査」も積極的に進められています。実地調査、書簡調査、リモート税務調査を適宜に使い分けながら、20事務年度に調査が減少した分も、21事務年度は積極的に調査等が進められることになるのではないでしょうか。
詳細は以下の記事をご参照ください。
大阪不動産会社らが海外会社を使った脱税容疑
税理士の指南と見られる、複雑なスキームを使用した脱税事件が起きてしまいました。
今回、タックスヘイブンにある海外会社を利用した脱税事件に関する記事を、朝日新聞DIGITALがリリースしています。
海外にある会社に経費名目で送金し、法人税など計約6600万円を脱税したとして、大阪国税局は22日、大阪市の不動産会社2社と元社長2人を法人税法違反などの容疑で大阪地検に告発したと発表した。
引用元:海外会社を使い脱税容疑 不動産会社ら告発 税理士グループが指南か(朝日新聞DIGITAL 2021年12月23日付)
記事では、海外在住の税理士らのグループが脱税行為を指南していたとみて実態解明を進めるとともに、東京都の経営コンサルタント会社社長と同社元役員も脱税行為を勧めた容疑で告発されたと伝えられています。タックスヘイブンの海外会社からさらに別国の会社を経由した上で現金を引き出す、巧妙な手口が取られていたということです。
現在、余罪があるとみて捜査が続けられており、大規模な脱税事件へと発展しそうです。
詳細は以下の記事をご参照ください。
(著者:大津留ぐみ / 大津留ぐみの記事一覧)