2021年12月の税理士業界ニュースをお届けします。
「税理士自主廃業による懲戒逃れ防止で制度改正検討」「税理士相次ぐ懲戒処分逃れで税理士法改正」の2本です。
税理士自主廃業による懲戒逃れ防止で制度改正検討
- 脱税関与疑いで調査中に自主廃業、税理士50人超が「懲戒逃れ」か…数年で復帰し業務再開も(讀賣新聞オンライン 2021年11月8日付)
- 「逃げ得」税理士の自主廃業、制度に不備…懲戒処分受けたのは指示された元部下(讀賣新聞オンライン 2021年11月8日付)
今年9月にも、国税当局の調査中に、国税OB税理士が廃業して懲戒処分逃れを行った記事が大きく取り上げられていましたが、過去にも同様のケースが起きており、処分逃れのために廃業する税理士が後を絶ちません。
今回、讀賣新聞オンラインでは、税理士の自主廃業による懲戒処分逃れの現状と、業務禁止処分を受けた税理士へのインタビュー記事を、2本続けてリリースしています。
1本目の記事では、自主廃業による懲戒処分逃れの現状に関して、現行の税理士法の懲戒処分の定めや、自主廃業による処分逃れの実態、再登録後は時間の経過で不正の裏付けが難しくなることなどについて触れています。
脱税などに関与した疑いで国税当局の調査を受けている税理士が調査中に自主廃業し、懲戒処分を免れたとみられるケースが、過去約10年間に全国で50人を超えることが関係者の話でわかった。
引用元:脱税関与疑いで調査中に自主廃業、税理士50人超が「懲戒逃れ」か…数年で復帰し業務再開も(讀賣新聞オンライン 2021年11月8日付)
2本目の記事では、元上司は税理士を自主廃業して懲戒処分を受けなかった一方で、自身は自主廃業せずに業務禁止処分を受けた税理士へのインタビューが掲載されています。
男性は、消費税約2000万円の納税を免れたとして滋賀県の人材派遣会社が2017年に脱税容疑で大阪国税局に告発された事件に関与し、国税当局の調査を受けた。
引用元:「逃げ得」税理士の自主廃業、制度に不備…懲戒処分受けたのは指示された元部下(讀賣新聞オンライン 2021年11月8日付)
また、同記事では、元上司は公認会計士でもあり、税理士登録を自主廃業することによって、公認会計士法による処分も逃れる二重の懲戒逃れの可能性にも言及しています。
法制度の不備を解消して、受けるべき罰は受けるという当たり前の仕組みが作られなければなりません。
詳細は以下の記事をご参照ください。
- 脱税関与疑いで調査中に自主廃業、税理士50人超が「懲戒逃れ」か…数年で復帰し業務再開も(讀賣新聞オンライン 2021年11月8日付)
- 「逃げ得」税理士の自主廃業、制度に不備…懲戒処分受けたのは指示された元部下(讀賣新聞オンライン 2021年11月8日付)
税理士相次ぐ懲戒処分逃れで税理士法改正
前述の記事の通り、税理士が国税当局の調査中に廃業し懲戒処分逃れを行う事件が相次いでおり、制度改正が嘱望されていましたが、その税理士法改正に関する記事が、讀賣新聞オンラインよりリリースされています。
脱税などの不正に関与した税理士が国税当局の調査中に自主廃業して処分を免れる懲戒逃れが相次いでいた問題で、政府・与党は、廃業後でも調査や事実上の処分を可能とする税理士法改正を行う方針を固めた。
引用元:税理士の懲戒逃れ、法改正で阻止へ…廃業後も調査や事実上の処分可能に(讀賣新聞オンライン 2021年12月9日付)
記事によると、法改正では調査対象に「元税理士」を加え、調査を拒否すれば罰則の対象となるということです。また、2年間の業務停止相当や、期間中の税理士復帰の禁止、氏名や不正の概要を国税庁のホームページや官報で公表するそうです。
改正後は、現職、廃業に関わらず同程度の処罰を受けることになり、問題が解決されます。一方で、税理士は法律家であり、法の趣旨を理解し指導する立場にあるわけです。この点を考えると、制度改正が行われなければ懲戒処分逃れが無くならないというのは、なんとも情けない話です。
詳細は以下の記事をご参照ください。
(著者:大津留ぐみ / 大津留ぐみの記事一覧)