このコーナーでは、元国税調査官・税法研究者・税理士である松嶋洋氏のFacebookでのコメントをご紹介していきます。
今回は7月26日、8月11日と12日、15日のコメント「非上場株式と貸付金遺贈を活用した節税の可能性」「資産税税務調査の実態を公表」「医療費控除で迷いがちな歯科治療の範囲」の3件をご紹介します。
非上場株式と貸付金遺贈を活用した節税の可能性
非上場株式の遺贈による評価について、敗訴した国税が控訴を断念したことで、話題になっています。
この点、税務通信(No.3661 2021年7月5日)によると、遺贈する株式の評価に際して、株式とともに貸付金も法人に対して遺贈することが決まっていたので、貸付金と貸借対照表に計上されている被相続人に対する借入金とを相殺し、借入金を消滅させた上で株価評価すべきと主張する国税のスタンスに対して、裁判所は、株価評価は遺贈直前に行うものであり、借入金はそのまま計上して計算すべきだと判決を下したと伝えられています。
これに対してFacebookで、松嶋先生は、代表者借入金を残したままだと株価対策ができてしまうと指摘し、国税は控訴を断念せず戦うべきだったとコメントされています。
今回、東京地裁が、譲渡直前の状況で株価評価を行うという判決を出したことで、同様の手法の相続税対策が増えていくことが懸念されます。
資産税税務調査の実態を公表
資産税の税務調査が行われる頻度が高いと感じておられる税理士の方は多いかもしれません。実際はどの程度の割合で、どれぐらいの日数をかけて、税務調査は行われているのでしょうか。
この点、税務通信(No.3665 2021年8月9日)によると、資産税の調査で、財産に応じて区分が設けられていることや、調査日数、区分ごとに指摘される内容に特徴があることなどが伝えられています。
これに対してFacebookで、松嶋先生は、調査日数が長く更修正割合も80%を超えているため、税務調査対策の観点からも、早めの相続対策が必要とコメントされています。
記事では、階級ごとに非違の対象となる資産の種類や原因について詳しく解説がされていて、税務調査に役立つ資料となっているので、ぜひご参照ください。
医療費控除で迷いがちな歯科治療の範囲
高額な医療費がかかっても、医療費控除の範囲に含めて良いのか判断が難しいケースもあります。
これに対してFacebookで、松嶋先生は、歯科医に係る医療費控除はシンプルではないので、逐一取り扱いを確認しなければならないとコメントされています。
この点に関しては、上記投稿で松嶋先生がシェアしている「歯医者(歯科治療)で医療費控除が認められるケースとその注意点を解説(相談LINE)」」にて、松嶋先生ご自身が、歯科治療の中から歯列矯正やホワイトニングの治療、インプラントなど、具体的なケースを挙げて解説されています。
歯科治療の中でも一般的に行われている治療について解説されていますので、医療費控除の範囲に含まれるかどうか取り扱いを確認しておくと良いかもしれません。
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元国税調査官・税法研究者 松嶋洋とは?
元国税調査官・税法研究者・税理士
松嶋 洋
平成14年東京大学卒業後、国民生活金融公庫(現日本政策金融公庫)、東京国税局、企業税制研究所(現日本税制研究所)を経て、平成23年9月に独立。
現在は通常の顧問業務の他、税務調査対策等のコンサルティング並びにセミナー及び執筆も主な業務として活動。とりわけ、平成10年以後の法人税制抜本改革を担当した元主税局課長補佐に師事した法令解釈をフル回転させるとともに、当局の経験を活かして予測される実務対応まで踏み込んで解説した、税制改正解説テキスト「超速」シリーズは毎年数百名の税理士が購入し、非常に高い支持を得ている。
著書に『最新リース税制』(共著)、『国際的二重課税排除の制度と実務』(共著)、『税務署の裏側』『社長、その領収書は経費で落とせます!』などがあり、現在納税通信において「税務調査の真実と調査官の本音」という200回を超えるコラムを連載中。
<参考サイト>
<著書>
(著者:大津留ぐみ / 大津留ぐみの記事一覧)