このコーナーでは、元国税調査官・税法研究者・税理士である松嶋洋氏のFacebookでのコメントをご紹介していきます。
今回は7月1日、5日、13日のコメント「金融機関主導の相続税対策の落とし穴」「保険名義変更時の消費税の取り扱い」「給与所得者の損益通算増加か」の3件をご紹介します。
金融機関主導の相続税対策の落とし穴
相続税評価額は実勢価格よりも低くなることから、相続税対策に不動産を購入するという方もおられると思いますが、リスクが高く注意が必要です。
この点、税務通信(No.3658 2021年6月14日)によると、金融機関主導の相続税対策として、相続直前に行われた不動産購入が問題視されていると伝えられています。
これに対してFacebookで、松嶋先生は、金融機関を信頼した税理士の税務調査対策が甘かったとしつつ、国税には金融機関の税務提案を禁止して欲しいとコメントされています。
相続直前の不動産購入は租税回避行為として否認されやすいので、顧問税理士に相談の上、慎重に検討する必要があります。
保険名義変更時の消費税の取り扱い
法人で契約していた保険契約の名義を役員などに変更する場合、消費税の取り扱いはどうなるのでしょうか。
この点、税務通信(No.3660 2021年6月28日)によると、消費税の非課税売上になると伝えられています。
これに対してFacebookで、松嶋先生は、過去の国税の内規などでは不課税であったため、要注意とコメントされています。
名義変更時の評価は、2021年7月1日以後に行う保険契約等に関する権利の支給について、改正が行われています(所得税基本通達36-37)。今後は保険契約の名義変更も減少していくものと思われますが、当面は注意が必要です。
給与所得者の損益通算増加か
夫婦で同じ事業を営んでいるわけでもないのに、確定申告で強引な損益通算が増えているようです。
この点、税のしるべ(令和3年6月21日号)によると、夫が給与所得者で妻が歌手兼個人レッスンの講師のケースで、夫の給与所得と損益通算した事例があるが、認められなかったと伝えられています。
これに対してFacebookで、松嶋先生は、当然の結論で、これでよく税理士がOKしたと思うとコメントされています。
節税対策で家族で損益通算という考え方は、結局、国税の調査で否認されることになりますので、甘い考えは捨てて、申告は税法に従って行いましょう。
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元国税調査官・税法研究者 松嶋洋とは?
元国税調査官・税法研究者・税理士
松嶋 洋
平成14年東京大学卒業後、国民生活金融公庫(現日本政策金融公庫)、東京国税局、企業税制研究所(現日本税制研究所)を経て、平成23年9月に独立。
現在は通常の顧問業務の他、税務調査対策等のコンサルティング並びにセミナー及び執筆も主な業務として活動。とりわけ、平成10年以後の法人税制抜本改革を担当した元主税局課長補佐に師事した法令解釈をフル回転させるとともに、当局の経験を活かして予測される実務対応まで踏み込んで解説した、税制改正解説テキスト「超速」シリーズは毎年数百名の税理士が購入し、非常に高い支持を得ている。
著書に『最新リース税制』(共著)、『国際的二重課税排除の制度と実務』(共著)、『税務署の裏側』『社長、その領収書は経費で落とせます!』などがあり、現在納税通信において「税務調査の真実と調査官の本音」という200回を超えるコラムを連載中。
<参考サイト>
<著書>
(著者:大津留ぐみ / 大津留ぐみの記事一覧)