このコーナーでは、元国税調査官・税法研究者・税理士である松嶋洋氏のFacebookでのコメントをご紹介していきます。
今回は4月29日、5月11日、18日のコメント「在宅勤務の夕食代が経費で認められる要件」「所有者不明土地対策で相続登記義務付け」「国税職員の信義則違反で争い」の3件をご紹介します。
在宅勤務の夕食代が経費で認められる要件
コロナ禍をきっかけに増加した在宅勤務。在宅での残業食事代については経費で認められないと思ってしまいそうですが、実は、経費にできるという見解が示されていますので注目です。
この点、税務通信(No.3651 2021年4月19日)によると、在宅勤務で残業して夜食を頼んだ場合でも、実費精算なら課税はされないと伝えられています。
これに対してFacebookで、松嶋先生は、規約等で就業時間を定めておかないとそもそも残業ではないと指摘される可能性があり、規約を見直すことが必要だとコメントされています。
在宅勤務の制度整備が追いつかず、社員が経費を自分で負担しているケースもあると思います。残業食事代については、労務管理をしっかり行い規約を整備することで非課税とできる可能性が示されたことから、興味のある企業様は検討されてみてはいかがでしょうか。
所有者不明土地対策で相続登記義務付け
所有者不明の土地は日本に数多く存在していますが、この問題を解消するための関連法が成立しました。
週刊T&Amaster No.880(2021年4月26日号)によると、相続登記を義務付けるとともに、違反すると10万円の過料が課せられるようになると伝えられています。
これに対してFacebookで、松嶋先生は、相続税の申告で確実に指導する必要があるとコメントされています。
すでに日本全体の2割の土地が所有者不明という状態ですが、今回の改正で、土地の有効活用が進むことを期待したいところです。
国税職員の信義則違反で争い
税務署に相談して、教えられた通りに申告をしたにもかからず不利益が発生した場合、責任を問うことはできるのでしょうか。
税のしるべ(2021年5月10日付け)によると、発行法人に対する株の譲渡について、税務署に相談した通りに申告して不利益が発生した裁判で、税務職員に信義則違反はなかったとする判決が出たと伝えられています。
これに対してFacebookで、松嶋先生は、税務署のいうことを鵜呑みにせず、慎重な判断が必要とコメントされています。
納税者も、自分に有利な回答が得られなかったときこそ顧問税理士を信頼して、リスクを回避してほしいものです。
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元国税調査官・税法研究者 松嶋洋とは?
元国税調査官・税法研究者・税理士
松嶋 洋
平成14年東京大学卒業後、国民生活金融公庫(現日本政策金融公庫)、東京国税局、企業税制研究所(現日本税制研究所)を経て、平成23年9月に独立。
現在は通常の顧問業務の他、税務調査対策等のコンサルティング並びにセミナー及び執筆も主な業務として活動。とりわけ、平成10年以後の法人税制抜本改革を担当した元主税局課長補佐に師事した法令解釈をフル回転させるとともに、当局の経験を活かして予測される実務対応まで踏み込んで解説した、税制改正解説テキスト「超速」シリーズは毎年数百名の税理士が購入し、非常に高い支持を得ている。
著書に『最新リース税制』(共著)、『国際的二重課税排除の制度と実務』(共著)、『税務署の裏側』『社長、その領収書は経費で落とせます!』などがあり、現在納税通信において「税務調査の真実と調査官の本音」という200回を超えるコラムを連載中。
<参考サイト>
<著書>
(著者:大津留ぐみ / 大津留ぐみの記事一覧)