このコーナーでは、元国税調査官・税法研究者・税理士である松嶋洋氏のFacebookでのコメントをご紹介していきます。
今回は2月2日、5日、18日のコメント「事業承継対策を行った税理士に1億900万円損害賠償」「提携相手が間借りは必要経費にならず」「シェアリングエコノミー等174億円申告漏れ」の3件をご紹介します。
事業承継対策を行った税理士に1億900万円損害賠償
税理士の資格があるからと信用して、高額報酬にも関わらず、コンサルティングを依頼してしまったのでしょうか。株価・事業承継対策のコンサルティング契約を受託した税理士に対して、多額の損害賠償責任が認められた事例が、紹介されています。
T&Amaster No.867(2021年1月25日号)では、東京地方裁判所が、顧問税理士の税務申告業務及び事業承継のコンサルティング業務等に関し、不法行為等に基づく約1億900万円の損害賠償責任を認めた判決について伝えています。
これに対してFacebookで、松嶋先生は、納税者の弱みに付け込んだ悪質な行為で賠償金額が少なすぎると、同業者に対して厳しくコメントされています。
事業承継など専門性が高い分野の場合、どの専門家の意見が正しいのか判断が難しいことも多いため、事前に調査したり、何社か見比べて契約する必要がありそうです。
提携相手が間借りは必要経費にならず
業務上必要な他の士業の人と業務連携するため、無償で税理士事務所に席を用意することはよくある話だと思うのですが、この場合の家賃等経費をめぐって驚くべき裁決が下ったというのです。
納税通信によると、税理士が業務提携している社労士に対して、事務所の一部を使用させて賃料等を税理士の必要経費としていたところ、税理士の業務と直接関係し、業務の遂行上必要だとは言えないという裁決が出たと伝えられています。
これに対してFacebookで、松嶋先生は、社労士分の家賃負担は家事関連費のようなものではないし、常識判断が一番重要なのに、裁決は無茶苦茶だと痛烈に批判しています。
今回と同じように、税理士事務所で全額家賃を負担しているケースは多いかもしれません。身に覚えがあるという方は、要注意です。
シェアリングエコノミー等174億円申告漏れ
シェアリングエコノミーなど新分野のビジネスは、副業でやっていて、申告手続きに馴染みがないという方も多いかもしれません。適正課税のため、国税庁で重点調査が行われているようです。
産経新聞(2021年2月17日付け)によると、シェアリングエコノミーや暗号資産などを対象とした国税庁の調査で、1年間で約174億円の申告漏れが発覚したと伝えられています。
これに対してFacebookで、松嶋先生は、記録が残るので調査はやりやすいだろうと、今後の調査に注意するよう促しています。
新しいビジネスが広がり、適正課税の確保が一層求められる中、厳しく調査が行われることになるのでしょうか。
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元国税調査官・税法研究者 松嶋洋とは?
元国税調査官・税法研究者・税理士
松嶋 洋
平成14年東京大学卒業後、国民生活金融公庫(現日本政策金融公庫)、東京国税局、企業税制研究所(現日本税制研究所)を経て、平成23年9月に独立。
現在は通常の顧問業務の他、税務調査対策等のコンサルティング並びにセミナー及び執筆も主な業務として活動。とりわけ、平成10年以後の法人税制抜本改革を担当した元主税局課長補佐に師事した法令解釈をフル回転させるとともに、当局の経験を活かして予測される実務対応まで踏み込んで解説した、税制改正解説テキスト「超速」シリーズは毎年数百名の税理士が購入し、非常に高い支持を得ている。
著書に『最新リース税制』(共著)、『国際的二重課税排除の制度と実務』(共著)、『税務署の裏側』『社長、その領収書は経費で落とせます!』などがあり、現在納税通信において「税務調査の真実と調査官の本音」という200回を超えるコラムを連載中。
<参考サイト>
<著書>
(著者:大津留ぐみ / 大津留ぐみの記事一覧)