このコーナーでは、元国税調査官・税法研究者・税理士である松嶋洋氏のFacebookでのコメントをご紹介していきます。
今回は1月7日、13日、22日のコメント「固定資産税軽減申告期限は1月末」「民泊用建物の消費税取扱い」「税務署に相談した事案に重加算税」の3件をご紹介します。
固定資産税軽減申告期限は1月末
新型コロナウィルスの影響で事業収入が一定以上減少している中小企業者は、固定資産税と都市計画税の軽減措置を受けることができます。この措置の申告期限は1月末となっています。
国税速報第6638号(2020年12月21日)では、固定資産税等の減免措置を受けるためには、認定支援機関等で確認を受けた書類を添えて、市町村の固定資産税の窓口に申告する必要があり、申告期限は1月31日までと伝えられています。
これに対してFacebookで、松嶋先生は、税理士も認定支援機関等になるので、適宜クライアントをサポートすることが必要とコメントしています。
何かと忙しい時期ですが、事業収入が悪化している関与先について、申告漏れのないようご留意ください。
民泊用建物の消費税取扱い
令和2年10月1日以後から、居住用賃貸建物の課税仕入れ等の税額について、消費税法等の一部が改正がされています。民泊の軒数が徐々に増えていますが、民泊用建物も居住用賃貸建物に該当することになります。民泊用建物はどのような取扱いになっているのでしょうか。
税務通信 No.3637(2021年1月11日)によると、民泊サービス事業のために取得した建物は、仕入れ等をした課税期間から3年目の課税期間に調整控除できると伝えられています。
これに対してFacebookで、松嶋先生は、民泊の売り上げは小さいけど調整忘れしないようにと、注意喚起しています。
民泊による収入が少額で、税理士に頼まず自分で確定申告されている方もおられると思いますが、民泊事業を行っている方は調整忘れのないようにご留意ください。
税務署に相談した事案に重加算税
改ざんや隠匿など悪質な行為が行われた場合に重加算税が賦課されるのは仕方ありませんが、次のように納税者が誠実に対応したと思われる事例で重加算税が課税されたことで、問題になっています。
T&Amaster No.866(2021年1月18日号)によると、申告前に所轄税務署に相談に行き、自分で判断してやっていいと回答を受けて申告したにもかかわらず重加算税の賦課決定処分が行わたため、重加算税の処分は行き過ぎだと控訴していると伝えられています。
これに対してFacebookで、松嶋先生は、国税は一切信用せず、自己責任で法解釈をする必要があると、国税の対応に苦言を呈しています。
税の相談窓口であるはずの税務署のこのような対応は、残念としか言いようがありません。リスクが高い論点がある申告については、後々訴訟になる可能性も考えて、証拠となる資料を準備しながら進めるなど、自身で身を守る必要がありそうです。
税務調査対策ノウハウを無料で公開中!
元国税調査官・税法研究者 松嶋洋による税務調査対策に効果的なノウハウをまとめたPDFを無料で公開中!ご興味のある方は下記サイトよりダウンロードください。
元国税調査官・税法研究者 松嶋洋とは?
元国税調査官・税法研究者・税理士
松嶋 洋
平成14年東京大学卒業後、国民生活金融公庫(現日本政策金融公庫)、東京国税局、企業税制研究所(現日本税制研究所)を経て、平成23年9月に独立。
現在は通常の顧問業務の他、税務調査対策等のコンサルティング並びにセミナー及び執筆も主な業務として活動。とりわけ、平成10年以後の法人税制抜本改革を担当した元主税局課長補佐に師事した法令解釈をフル回転させるとともに、当局の経験を活かして予測される実務対応まで踏み込んで解説した、税制改正解説テキスト「超速」シリーズは毎年数百名の税理士が購入し、非常に高い支持を得ている。
著書に『最新リース税制』(共著)、『国際的二重課税排除の制度と実務』(共著)、『税務署の裏側』『社長、その領収書は経費で落とせます!』などがあり、現在納税通信において「税務調査の真実と調査官の本音」という200回を超えるコラムを連載中。
<参考サイト>
<著書>
(著者:大津留ぐみ / 大津留ぐみの記事一覧)