2020年11月13日、弥生株式会社よりデスクトップアプリ「弥生 21 シリーズ」が発売となりました。
本記事では、去る2020年11月5日に東京・秋葉原のヤヨイヒロバ及びZoomウェビナーにて開催された、弥生 21 シリーズの新製品発表会のレポートをお届けします。
※記事内のスライドはすべて弥生 21 シリーズ製品発表会資料からの引用です。
本記事の目次
弥生株式会社の現状
弥生シリーズが33年目を迎える弥生株式会社。代表取締役社長の岡本浩一郎氏がまずは弥生シリーズの現状を振り返りました。
*弥生株式会社は9月決算。
「登録ユーザー数」「弥生PAP会員数」「売上高」の状況はそれぞれ以下の通り、順調に推移し、弥生シリーズの好調さを示す数字となっています。
登録ユーザー数は220万を突破
弥生シリーズの登録ユーザーは220万を突破し、さらに順調に拡大中。
デスクトップ、クラウドの両方で圧倒的シェアNo.1を実現し、登録ユーザー数を拡大しています。
弥生PAP会員数は10,000事務所を突破
弥生シリーズの販売パートナーでもある弥生PAP(やよいぱっぷ)の会員は10,000事業者を突破。会計事務所のパートナーネットワークとして日本最大規模。
売上高も過去最高を記録
登録ユーザー数、弥生PAP会員数の増加とともに、売上高も過去最高を継続。法令改正の影響もあり、の売上高が大幅に増加した2019年度(FY19)でしたが、2020年度(FY20)はそれを上回る結果となりました。
コロナ禍の支援情報を発信、お客様からのお問い合わせ対応も継続
事業者にとって大きな課題となっているのが、コロナ禍での事業継続です。昨期の取り組みとして、弥生株式会社でも事業者への情報発信を通じた支援を行っています。
政府や自治体などを始めとして、新型コロナウィルスに関する様々な公的支援が打ち出されていますが、最新の正確な情報が一元的に見られるように「中小企業・個人事業主の方対象 新型コロナウイルスに伴う支援情報」を公開しています。また、事業継続に必要なテレワーク導入に関する情報もアップしています。
コロナ禍でもカスタマーセンターでのお問い合わせ対応を継続。緊急事態宣言が発出されたタイミング(FY20の3Q )では、前年よりも多くのお問い合わせがありました。
弥生 21 シリーズのアップデートポイントは?
続いて、2020年11月13日にリリースしたデスクトップアプリ「弥生 21 シリーズ」についての発表が行われました。
弥生 21 シリーズは、「やよいの青色申告 21」「弥生会計 21」「やよいの給与計算 21」「弥生給与 21」「やよいの見積・納品・請求書 21」「弥生販売 21」「やよいの顧客管理 21」の7製品が対象となっています。
アップデートに関しては、業務効率化と法令改正の2側面からの発表が行われました。
業務効率化と法令改正に関するアップデートのうち、以下の3点に焦点を当てて解説します。
- 業務効率化に関する主なアップデート
- デスクトップアプリの口座連携機能を拡充
- クラウドアプリに確定申告第四表作成機能を追加
- 法令改正に関する主なアップデート
- 令和2年分年末調整の大幅な改正
デスクトップアプリの口座連携機能を拡充
今回の新製品発表会では、デスクトップアプリの口座連携機能の改善対応にも多くの時間が割かれました。
もともと口座連携(弥生株式会社のサービス名「スマート取引取込」)はクラウドアプリの機能として設計されており、デスクトップアプリで口座連携をする際に、いったんクラウド画面に移行して操作する必要がありました。今回これをさらに一歩進めて、デスクトップアプリの中でクリックすれば、データがデスクトップアプリの中に自動で取り込まれるようなサービスの提供が開始されました。
クラウドアプリに確定申告第四表作成機能を追加
さらに弥生株式会社では、コロナ禍で損失申告をする個人事業主の方が増えるのではないかという状況の中で、従来はデスクトップアプリにしかなかった損失申告用の確定申告第四表作成機能を、クラウドアプリにも追加しました。
確定申告の用途で、個人事業主のクラウドアプリの利用が進んでいる現状に配慮し、クラウドアプリでも損失申告ができるようになりました。
年末調整が大幅改正され複雑化。法令改正対応の機能アップデートや、問い合わせ対応も充実
令和2年分の年末調整は、各種控除の見直しや所得金額調整控除の導入の他、多くの改正が行われました。
岡本代表は、事業者の業務が成り立つために必ず対応が必要なものとして、各種控除の変更への対応と、手続きの電子化促進のうち源泉徴収票の電子提出義務対象拡大を挙げ、弥生シリーズの機能アップデートについて説明されました。国税庁によるソフトはすでに提供が始まっていますが、利用がまだ広がっていないことから、今後の検討課題とされました。
岡本代表から、法令改正への対応と業務効率化は、ソフトを提供するだけでは十分ではないと認識が示されました。
そのため、弥生株式会社においても最新の法令改正の情報をタイムリーに発信したり、テレワークをどう実現していくのかについても、カスタマーセンターでの問い合わせ対応やウェブコンテンツの提供によって、情報発信が行われています。
会計事務所が本業に集中することを実現『記帳代行支援サービス』
記帳代行支援サービスの内容
会計事務所の記帳代行業務を効率化する「記帳代行支援サービス」を開始(弥生株式会社Webサイト 2020年9月28日付)
これまで弥生シリーズではスマート取引取込と自動仕訳の機能で、記帳にかかる時間を削減し、業務効率化を実現してきました。
一方で、まだまだ人手不足に悩まされる会計事務所も少なくありません。そういった会計事務所の課題を解決する方法として、弥生株式会社では、記帳代行支援サービスをリリースしました。
このサービスのメリットは、会計事務所が、高い精度で行われた仕訳のチェックから記帳代行をスタートできるようになるという点にあります。
会計事務所は、紙証憑のデータ化や手入力を行う必要がなくなり、弥生会計AEに取り込まれた仕訳を必要に応じて修正すれば良く、業務効率化が実現できることになります。
弥生と他社サービスの違い
証憑をデータ化するサービスは他社にもありますが、弥生株式会社が提供するサービスは他社とどのような違いがあるのでしょうか。
他社サービスの場合、データを弥生会計AEに取り込むために、マスターの設定、データの修正などで重複作業が発生してしまいましたが、弥生株式会社が提供する記帳代行支援サービスでは、データ化から弥生会計AEへの取り込み、その後の決算までシームレスに作業を行えるのが大きな特徴です。会計事務所にとっては大幅な業務効率化が期待できるサービスとなっています。
記帳代行支援サービスの次に弥生が目指すもの
記帳代行支援サービスは、データの自動取込や紙のデータ化など、基本的には入力系の機能がメインとなっています。
岡本代表は、最終的に価値を提供したいのは事業者に対してであり、事業者が一番必要なことである、自社の経営状況をできるだけタイムリーに正確に見えるようにすることを目指していきたいと、次のサービスについて道筋を示されました。
会計事務所から事業者にタイムリーに情報を戻していくための仕組みが、今後提供されることになりそうです。
岡本代表は、現状の小規模事業者の業務は、電子化といいながら紙に囲まれているのが実態であると分析し、そういった実態の中でも、少しずつでも着実に業務効率化していくための取り組みが必要と説明されました。
短期的には、紙が中心の実務をいかに効率化するかということに取り組み、長期的には、デジタル化を前提として全体最適化された抜本的な業務効率化を官民連携で推進していきたいと、今後の抱負を述べられました。
以上、弥生新製品発表会のレポートをお届けしました。