前編に引き続き、弥生PAPカンファレンス2020秋の模様をお届けします。
前編では、弥生株式会社(以下、弥生)の岡本代表が講演した「社会的システムのデジタル化に対する弥生の取り組み」についてお伝えしました。
中編では、弥生が会計事務所向けに提供すを開始する新サービス「記帳代行支援サービス」についてのプレゼンテーションをお届けします。
※記事内のスライドはすべて弥生PAPカンファレンス2020秋にて用いられたものです。
弥生PAPカンファレンス2020秋プログラム
- 弥生の現況と目指す方向(弥生株式会社 代表取締役社長 岡本浩一郎)
- 記帳代行支援サービスのご紹介(弥生株式会社 営業推進部 加藤健一、パートナー支援課 松原里英)
- 弥生PAP会員による事例発表
- 記帳代行支援サービスの活用とその効果について(KVI税理士法人 代表社員・税理士 岡森久倫、西村修斗)
- インフォメーション~弥生 21 シリーズのご紹介~(弥生株式会社 営業推進部 パートナー支援課 山田泰広)
本記事の目次
- 記帳代行業務は会計事務所共通の課題
- 自計化か記帳代行か、会計事務所の永遠の命題
- 2020年秋リリース、記帳代行支援サービス
- 記帳代行支援サービスの3つの特徴
- 記帳代行支援サービスの気になる価格は?キャンペーンも実施
記帳代行業務は会計事務所共通の課題
会計事務所の業務効率化を図ろうと、会計ソフトメーカー各社が、様々な工夫を凝らした会計ソフトをリリースしています。他方、それを上回るスピードで、会計事務所の人手不足は深刻さを増しており、工数の多い記帳代行業務にかかる時間を今以上に減らすことが、喫緊の課題となっています。
そのような中、カンファレンスの中盤では、弥生株式会社の代表取締役社長 岡本浩一郎氏から、会計事務所の永年の命題であった「自計化か、記帳代行か」に対する変化が語られました。
また、弥生株式会社の営業推進部、加藤健一氏から、2020年9月28日から提供を開始した「記帳代行支援サービス」についての詳細が発表されました。
自計化か記帳代行か、会計事務所の永遠の命題
記帳代行支援サービスの紹介に当たり、まず、弥生株式会社の代表取締役社長 岡本浩一郎氏から自計化と記帳代行に関する考えが示されました。
クライアント自身が仕訳をする「自計化」は、タイムリーに経営状態が把握できるという点でベターな選択肢ではあるものの、入力する社員の時間と労力と会計知識が必要になります。他方、「記帳代行」を選択すれば、クライアントはコアコンピテンスに集中できるもののタイムリーな情報把握は難しくなり、会計事務所の負荷も高まります。
これまでの会計事務所業界においては、自計化、記帳代行のいずれも完璧な選択肢ではありませんでした。
これに対して、「自計化か記帳代行か、という選択肢は、会計事務所の永遠の命題だった。だが、自動化を前提とすれば、どちらも有効な選択肢となり得る。」として、岡本代表は、自動化により大きく価値観が変わることになると説明されました。
まず、「自計化」には、社内で会計業務を担当する社員の時間と労力、そして、会計知識が必要でしたが、自動化のための初期設定に多少時間はかかるものの、自動化された後は時間と労力をかけなくて済むようになります。
他方の「記帳代行」も、自動化することで記帳作業における工数が短縮されるため、クライアントにタイムリーに情報を戻すことができます。また会計事務所としても記帳代行につぎ込む時間が減り、その分付加価値の高い業務に集中することができるようになります。
「自動化を前提にすれば、自計化も記帳代行もどちらも良い選択肢になる。記帳代行をいかに自動化するか、また効率化するのか。その課題を解決するサービスとして『記帳代行支援サービス』をリリースした。」として、岡本代表から発表がされました。
2020年秋リリース、記帳代行支援サービス
続いて、営業推進部の加藤健一氏より、記帳代行サービスの詳細が発表されました。
現在は多くの会計ソフトに自動取込や自動仕訳機能があり、ほんの1、2年前まですべて手入力していたのが信じられないぐらい便利になりました。このように、会計システムの機能向上で記帳代行にかかる作業時間が減少しており、業務負担も軽くなっているように見えます。ところが、会計事務所からは、記帳代行に関する相談が増えていると言います。
「単純作業を行う入力担当者を採用してもなかなか定着しない。採用できたとしても間違いがあったり品質にばらつきがあるため、有資格者やベテラン職員がフォローせざるを得ない。」という相談が多いと、加藤健一氏から、会計事務所の置かれている厳しい現状が説明されました。
そして、この問題をなんとか解決することができないかということで考案されたのが「記帳代行支援サービス」です。
新サービスを利用すると、記帳代行業務は具体的にどのように変わるのでしょうか。
- 現在の記帳代行の流れ
①金融機関など明細データは自動取込または手入力、紙証憑は取引データに転換または手入力
②自動仕訳
③確認・修正 - 記帳代行支援サービス利用後の記帳代行の流れ
上記の①と②は弥生株式会社の記帳代行支援サービスを使用
会計事務所は、弥生会計のスマート取引取込機能で仕訳を取込み、③確認・修正を行う
会計事務所はスマート取引取込と仕訳の確認・修正をすれば良いので、今よりも高付加価値業務に集中することができるようになるというわけです。
記帳代行支援サービスの3つの特徴
「記帳代行支援サービスを試してみたいけど、仕訳の確認作業に時間がかかったり修正が多かったりすると、結局自分たちでやるのと変わらなくなってしまうのではないか。」と考える会計事務所の方も多く、サービスの精度と効率性が気になるところではないでしょうか。
この疑問に答えるように、加藤氏は、記帳代行支援サービスの3つの特徴について説明されました。
- 領収書等の紙証憑をオペレーターがデータ化
- 顧問先の各種データを自動取込
- 確認作業も弥生会計AEでかんたん
まず入力の精度について、「しっかりしたトレーニングを受けたスタッフが複数名で仕訳入力を行い、システムのチェックもあるので、高い入力精度になっている」と説明されました。
また、確認作業が効率的にできるように、仕訳に付箋が付いた状態で「弥生会計 AE」に取り込まれるのも特徴です。
スライドのように、例えば、重複可能性があるものには「!(びっくりマーク)」の付箋がついていたりと、重点的にチェックができるようになっています。
クライアントが弥生製品を使っていなくても、会計事務所が弥生製品を使っていればクライアントのインターネットバンキングやクレジットカードの情報を取り込んで仕訳にする機能が使えるので、クライアントが使っている会計ソフトに関係なくサービスが受けられるのも特徴です。
記帳代行支援サービスの気になる価格は?キャンペーンも実施
また、加藤氏から、「記帳代行支援サービス」の利用料金も紹介されました。
月額基本料金が10,000円で、1明細ごとに証憑データ化料金18円で追加されます。また、顧問先が10社を超えるごとに追加ライセンス料金がかかるという仕組みです。
採用が難しい状況で、記帳代行業務が手がかからず行えるなら、それだけでありがたいと考える会計事務所の方も多いと思います。また、人件費との比較の面でも、必要な時に必要な分だけ利用できるサービスなので経済的ではないかと思います。
無料体験プランのほか、リリースから1年間は証憑データ化料金が値引きされる「記帳代行効率化キャンペーン」を実施しているそうです。弥生PAP会員サイト内の「記帳代行支援サービス申し込みフォーム」から申込みができるので、ご確認ください。
これまでの会計事務所は、労働集約型の記帳代行業務に多くの時間がかかっていましたが、今後は高付加価値業務に集中することができ、会計事務所の成長への期待が高まるプレゼンテーションでした。
後編では、弥生PAP会員事務所による業務改善事例の発表をお届けします!
→弥生の記帳代行支援を活用し業務の効率化を実現したKVI税理士法人:弥生PAPカンファレンス2020秋レポート(後編)
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「弥生PAP」とは、弥生株式会社と会計事務所がパートナーシップを組み、弥生製品・サービスを活用して、中小企業、個人事業主、起業家の発展に寄与するパートナープログラムです。2018年9月時点で9,000以上の事務所が加入。税務サービスを提供する会計事務所様はぜひご加入をご検討ください。