テレワークを行う自宅の事務所認定の可能性や通勤手当の非課税問題、路線価補正が相続税の申告期限に与える影響など3件:元国税調査官・税法研究者 松嶋洋が語る 税法解釈と税務調査の真実

元国税調査官・税法研究者 松嶋洋が語る_税法解釈と税務調査の真実

このコーナーでは、元国税調査官・税法研究者・税理士である松嶋洋氏のFacebookでのコメントをご紹介していきます。

今回は7月7日、10日、26日のコメント「テレワークを行う自宅の事務所認定の可能性」「路線価補正が相続税の申告期限に与える影響」「テレワークの通勤手当は非課税か」の3件をご紹介します。

テレワークを行う自宅の事務所認定の可能性

外出自粛の影響で、会計事務所にもテレワークの導入が広がりつつあります。ところが、テレワークを行う自宅が法人の事務所等に該当するのではないかと、議論が起きているというのです。

税務通信No.3611(2020年6月29日号)によると、総務省の見解では、事務所等の定義に照らしてテレワークを行う自宅が事務所に該当する可能性があると伝えています。

これに対してFacebookで、松嶋先生は、テレワークの自宅が税理士事務所にあたらないのに、均等割の対象になる事務所になるという見解はクレージーだとして、常識で判断することが大切だとコメントしています。

仮に総務省の見解通りに自宅が事務所等に認定されることがあれば、会計事務所でテレワークを認めるところはなくなり、せっかく始まったワークスタイル変革から逆行することにもなりかねません。良識ある判断を期待するばかりです。

テレワークの通勤手当は非課税か

先ほど、テレワークを行う自宅が事務所に該当する可能性があるとお伝えしましたが、テレワーク時の通勤手当についても議論が起きています。

税務通信No.3614(2020年7月20日号)によると、テレワークで従業員らが通勤しない期間が、一時的でも、結果的に長期化した場合でも、通勤手当は非課税と取り扱って問題ないと伝えられています。

これに対してFacebookで、松嶋先生は、テレワークに一本化されて勤務場所が自宅になると非課税とされない恐れがあるというので注意が必要とコメントしています。

今後は、テレワークが常態化する企業も増えそうですが、通勤手当の取扱いには注意が必要です。

路線価補正が相続税の申告期限に与える影響

先日、国税庁は、新型コロナウィルスの感染拡大が地価に与える影響を考慮して、路線価の補正を検討する可能性があることを発表したばかりです。この路線価補正が他の税制にも影響を与える可能性があるというのです。

税務通信No.3612(2020年7月6日号)によると、路線価の補正に伴い相続税の申告期限の延長も浮上していると伝えられています。

これに対してFacebookで、松嶋先生は、もはや何でもありなので、事業承継税制の株価切り下げにも切り込んでほしいとコメントしています。

申告期限の延長、延滞税なしの納税猶予、路線価補正など、異例の対応が相次ぎ感覚が麻痺してしまいそうです。ちょっとしたタイミングのずれで税額に不公平感が生まれないために、議論を尽くしてもらいたいところです。

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元国税調査官・税法研究者 松嶋洋とは?

元国税調査官・税理士・松嶋洋

元国税調査官・税法研究者・税理士
松嶋 洋

平成14年東京大学卒業後、国民生活金融公庫(現日本政策金融公庫)、東京国税局、企業税制研究所(現日本税制研究所)を経て、平成23年9月に独立。

現在は通常の顧問業務の他、税務調査対策等のコンサルティング並びにセミナー及び執筆も主な業務として活動。とりわけ、平成10年以後の法人税制抜本改革を担当した元主税局課長補佐に師事した法令解釈をフル回転させるとともに、当局の経験を活かして予測される実務対応まで踏み込んで解説した、税制改正解説テキスト「超速」シリーズは毎年数百名の税理士が購入し、非常に高い支持を得ている。

著書に『最新リース税制』(共著)、『国際的二重課税排除の制度と実務』(共著)、『税務署の裏側』『社長、その領収書は経費で落とせます!』などがあり、現在納税通信において「税務調査の真実と調査官の本音」という200回を超えるコラムを連載中。

<参考サイト>

<著書>

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【大津留ぐみ:公認会計士・税理士/会計士・税理士専門ライター】 大学在学時にシェイクスピアを学んだことをきっかけに劇作家を目指すも挫折。編集プロダクションで編集やライティング業務に従事した後、公認会計士試験にチャレンジし合格。大手監査法人の東京事務所にて監査業務、財務デューデリジェンスなどに従事。 その後、フリーランスの公認会計士として非常勤監査、税理士法人の社員税理士として税務業務に従事しつつ、大津留ぐみのペンネームでライターとしての執筆活動にも従事。ライターとして、お金、社会保障、会計、税務などに関する記事を執筆。また、2児の母となったことをきっかけに、子どもの貧困や教育格差、子どものイジメに関する記事なども執筆。現在は、株式会社ワイズアライアンスの専属ライターとして会計・税務の記事を執筆しつつ、会計事務所にて内部統制業務にも従事するパラレルワーカー。公認会計士・税理士。

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