このコーナーでは、元国税調査官・税法研究者・税理士である松嶋洋氏のFacebookでのコメントをご紹介していきます。
今回は6月11日、12日、18日のコメント「数千万円のフェラーリは生活用資産か」「フリーランス持続化給付金ようやく」「会計事務所のリモートワークを国税庁容認」の3件をご紹介します。
数千万円のフェラーリは生活用資産か
生活水準は人それぞれですが、非課税所得となる「生活に通常必要な動産」にフェラーリが該当するか否かで争われたようです。
2020年6月10日付の税のしらべ電子版によると、フェラーリは限定車で購入者が限られることと、購入価格が数千万円を超えることから、「生活に通常必要な動産」に該当しないとして、譲渡所得と認定されたと伝えられています。
これに対してFacebookで、松嶋先生は、譲渡所得で申告することは言うまでもないが、審査請求の場で公的な判断をされたのは大きなインパクトがあるとコメントしています。
フリーランス持続化給付金ようやく
コロナ禍で仕事が激減して、苦しい生活を強いられているフリーランスの方は多いと思います。今回、フリーランスの持続化給付金を巡り、議論となっています。
2020年6月8日付の税のしらべによると、フリーランスが雑所得や給与所得で収入を計上していたとしても、確定申告書で主たる収入として計上され、前年同月比で50%以上減少しており、収入や事業の実態を確認できる定型的な書類がある場合には同給付金の対象にすることになったと伝えられています。
これに対してFacebookで、松嶋先生は、所得の区分で重要なのは実質的判断なので、このように割り切れる話ではないとコメントしています。
制度に不備があるのかもしれませんが、結果的にフリーランスの方が救済されたことで丸く収まった形です。ただし、通常より審査に時間がかかるということなので、該当するフリーランスの方は早めに申請した方が良さそうです。
会計事務所のリモートワークを国税庁容認
会計事務所はPCと資料があれば仕事ができることから、リモートワークと親和性が高い業種と見られがちですが、なかなかリモートワーク導入が進んでいないのが現状です。その理由としては税理士法第40条第3項による規定(いわゆる、二箇所事務所の禁止)があげられます。今回は、会計事務所のリモートワークについて取り上げられています。
2020年6月15日付の税のしらべによると、経済産業省が、税理士を含む税理士事務所の職員が、事業者が新たに提供するリモートワーク対応版を実装したクラウドサービスを利用して、リモート勤務場所で税理士事務所の業務を行った場合、そのリモート勤務場所が、税理士法に規定する「税理士事務所」に該当しないと公表したと伝えられています。
これに対してFacebookで、松嶋先生は、条文で読めない取扱いを国税の独善で認めるべきではなく、法改正をすべきと批判しています。
国税庁のお墨付きを得てリモートワークが解禁されることになりました。今後は、会計事務所では、リモートワーク導入の準備が進められていくのはないでしょうか。
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元国税調査官・税法研究者 松嶋洋とは?
元国税調査官・税法研究者・税理士
松嶋 洋
平成14年東京大学卒業後、国民生活金融公庫(現日本政策金融公庫)、東京国税局、企業税制研究所(現日本税制研究所)を経て、平成23年9月に独立。
現在は通常の顧問業務の他、税務調査対策等のコンサルティング並びにセミナー及び執筆も主な業務として活動。とりわけ、平成10年以後の法人税制抜本改革を担当した元主税局課長補佐に師事した法令解釈をフル回転させるとともに、当局の経験を活かして予測される実務対応まで踏み込んで解説した、税制改正解説テキスト「超速」シリーズは毎年数百名の税理士が購入し、非常に高い支持を得ている。
著書に『最新リース税制』(共著)、『国際的二重課税排除の制度と実務』(共著)、『税務署の裏側』『社長、その領収書は経費で落とせます!』などがあり、現在納税通信において「税務調査の真実と調査官の本音」という200回を超えるコラムを連載中。
<参考サイト>
<著書>
(著者:大津留ぐみ / 大津留ぐみの記事一覧)