会計事務所のリモートワーク問題がついに解決!freeeが税理士の在宅勤務のグレーゾーンを解消するモデル就業規則を提供

会計事務所のリモートワーク問題がついに解決!freeeが税理士の在宅勤務のグレーゾーンを解消するモデル就業規則を提供

新型コロナウィルスの影響で、在宅でのリモートワークのニーズが高まっています。

それに伴い会計事務所でも、ITインフラの整備をはじめとして、新たな対応に迫られていますが、会計事務所がリモートワークや在宅勤務を導入するにあたっては、税理士法第40条第3項による規定(いわゆる、二箇所事務所の禁止)がネックとなっていました。

クラウド会計ソフトfreee_ロゴ_new

そんな中、今回、リモートワークを導入する会計事務所に向けて、クラウド会計サービスのfreeeが、国税庁確認済の会計事務所向け『リモートワークのモデル就業規則』をリリースしました。

このモデル就業規則を適用することによって、会計事務所は在宅勤務などのリモートワークを適法に行っていくことができます。また、このモデル就業規則はfreeeの会計ソフトをご利用ではない会計事務所でも利用できるものとなっています。

一体どのような内容なのでしょうか?

早速、ご紹介していきましょう。

記事目次

適法ではなかった!?会計事務所のリモートワークや在宅勤務

会計事務所の業務は、会計ソフトを使ったPC作業などデスクワークが大半を占めるため、リモートワークと親和性が高い業種と思われがちですが、導入する会計事務所が思ったより少ないのが現状です。

その理由は、在宅勤務等のリモートワークが、税理士法第40条第3項税理士は、税理士事務所を二以上設けてはならない。」とする二箇所事務所規定に抵触するのではないかという恐れがあるからです。

税理士法第40条

税理士(税理士法人の社員(財務省令で定める者を含む。第4項において同じ。)を除く。次項及び第3項において同じ。)及び税理士法人は、税理士業務を行うための事務所を設けなければならない。

2 税理士が設けなければならない事務所は、税理士事務所と称する。

3 税理士は、税理士事務所を二以上設けてはならない。

4 税理士法人の社員は、税理士業務を行うための事務所を設けてはならない。

2020年5月に、会計事務所または税理士法人に勤務する税理士登録者に対してfreeeが実施した、テレワークに関するアンケート調査(n=312)によると、

  • 約3割はテレワークを実施していない。(税理士法第40条二箇所事務所規定により、税理士は事務所を1カ所にしか設けられないため、届出済の会計事務所以外の場所で業務を行うことが法的に許容されるか否かが不明確なため。)
  • テレワークを実施していると回答したうちの3割が、「税理士法等の関係法令に抵触しない形でのテレワークの具体的な運用(システムや社内規程の要件)がわからない」と回答している。

上記2つの問題が、リモートワーク導入の妨げとなっていることが分かりました。

経済産業省の「グレーゾーン解消制度」で適法性を確認

プロジェクト責任者である、freee株式会社の高木悟氏(公認会計士・税理士)によると、本件に関しては今回の新型コロナの問題以前より取り組んでおり、適法性を確認しサービスをアウトプットするまでに3年くらいの期間があったといいます。

freee株式会社 公認会計士・税理士  高木 悟氏

freee株式会社 公認会計士・税理士  高木 悟氏

今回リリースしたモデル就業規則は、適法にリモートワークを行うためのものということですが、どの所轄官庁に対して、どのような手段で適法性を確認したのでしょうか。

今回のモデル就業規則作成にあたっては、経済産業省さんが民間向けに行っている、「グレーゾーン解消制度」を活用しました。

この仕組みは、規制の解釈や適用の有無を確認するというもので、法律的にはどちらともとれるグレーなものを白黒はっきりさせる制度となっています。この制度を使い、経済産業省経由で国税庁に照会をかけ、国税庁が日税連(日本税理士会連合会)とも協議の上で、問題がないという回答を得ました。

今回リリースしたリモートワークモデル規定を遵守すれば、二箇所規定に違反しないとはっきりさせた形です。(freee 高木氏)

経済産業省からも、グレーゾーン解消制度を利用して本件について国税庁に対して照会し、回答を得たと報告されています。詳しくは、こちらのニュースリリースをご確認ください。

また、国税庁の回答では、リモート勤務場所が税理士事務所と誤認されるような看板を掲げる行為や名刺への住所記載を行わないなど、二箇所規定に該当しない具体的な例を挙げられています。回答や留意事項についての詳細はこちらをご覧ください。

会計事務所向けリモートワークのモデル就業規則の内容とは?

freeeのサービスを使っていない会計事務所もダウンロード可能

国税庁からの回答に従いリモートワーク規定を作成する必要がありそうですが、具体的にどのような項目を網羅すれば良いのでしょうか。

freeeでは、国税庁が適法性を確認済みの会計事務所の「リモートワークのモデル就業規則」を、Webサイトで公開し、freeeのサービスを利用していない会計事務所でも連絡先を入力すればダウンロードが可能となっています。

モデル就業規則は下記よりダウンロードができます。

モデル就業規則のダウンロードページを見る

気になる就業規則の内容は?

「リモートワークのモデル就業規則」は、第1条(目的)から第16条(主管部署等)までの16の条文から構成されており、勤務時間、業務報告、勤務場所などについて管理者である開業税理士や税理士法人の社員税理士からの承認を得ると言った二箇所事務所禁止の規定に違反しない項目が予め押さえられています。

国税庁が求める水準を満たすように会計事務所自身が規定を作成するとなれば、かなりの時間と労力が必要になりますが、この「リモートワークのモデル就業規則」を使うことによって、そういった手間を省き、リモートワーク制度を導入することができます。

テレワーク導入は、新型コロナウィルスでの外出自粛のみならず、多様な働き方を求める人のニーズにも応えられることから、採用活動にも良い影響が期待でき、今後、会計事務所業界がより活性化していくためには避けては通れないテーマだったと言えるでしょう。

二箇所事務所禁止規定という税理士法の縛りから、今まで会計事務所は胸を張ってリモートワークが出来ませんでしたが、このモデル就業規則を活用することで、会計事務所の皆様も積極的にリモートワークが実施できるようになります。

freeeをご利用でない会計事務所の方でもご活用いただけますので、是非ご利用ください。(freee 高木氏)

今回のfreee社の働きかけにより、今後、より多くの会計事務所でテレワークが推進されることを祈念しています。

モデル就業規則のダウンロードページを見る


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