このコーナーでは、元国税調査官・税法研究者・税理士である松嶋洋氏のFacebookでのコメントをご紹介していきます。
今回は5月18日、11日、4月30日のコメント「新型コロナで新規税務調査行わない方針」「コロナ禍業績変動による役員給与減額後の再増額は不可」「個人的飲食代の会社付替えに厳しい課税処分」の3件をご紹介します。
新型コロナで新規税務調査行わない方針
申告期間の延長や納税猶予など、新型コロナウィルス感染拡大の影響を受けて国税庁では柔軟な対応が行われていますが、税務調査についても方針が示されたようです。
税務通信No.3605によると、国税庁は納税者から口頭等で明確に同意が得られた場合に税務調査をすることとしており、納税者の状況を考慮した対応を行う方針だと伝えられています。
これに対してFacebookで、松嶋先生は、調査忌避にならないよう十分確認した上で、明確な同意をしないよう注意を促しています。
すでに税務調査の予定が入っているけど感染が心配という方は、延期できるか確認しても良いかもしれませんね。
コロナ禍業績変動による役員給与減額後の再増額は不可
新型コロナウィルスの感染拡大で企業の資金繰りが急速に悪化しており、外食業界を中心に役員給与を減額するケースも少なくないのではないでしょうか。
税務通信No.3603によると、新型コロナウィルスの影響で売上が減少して役員給与の減額を行ったとしても、その事業年度中に従来の支給額に戻した場合は定期同額給与に該当しないと伝えています。
これに対してFacebookで、松嶋先生は、定額同額給与は問題だらけの悪法で、コロナを機に、役員給与税制の見直しが必要だとコメントされています。
経済が回り始めてもどこまで売上が戻るのか先行きは不透明ですが、企業の復興再生の足かせとなるような制度であれば、見直しが必要だと言わざるを得ないのかもしれません。
個人的飲食代の会社付替えに厳しい課税処分
外出自粛で、取引先との接待等でクラブを利用する機会も減っているのではないでしょうか。そんな中、今回話題になっているのは、クラブの飲食代に関する事案です。
T&A master830によると、クラブへの反面調査で“一人飲み”が認定され、個人的飲食の会社への付替えを重加算税とした課税処分を、東京地裁が容認したと伝えています。
これに対してFacebookで、松嶋先生は、税務調査の交渉で過少申告加算税で済むことも多い事例なのにと、コメントされています。
個人経費の付替えをしても大丈夫だろうと甘く見たのかもしれませんが、最悪の結果になってしまいました。日頃から注意深く指導している先生が多いかもしれませんが、クライアントにも、こういう事例があったことを紹介しておくと役に立つかもしれませんね。
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元国税調査官・税法研究者 松嶋洋とは?
元国税調査官・税法研究者・税理士
松嶋 洋
平成14年東京大学卒業後、国民生活金融公庫(現日本政策金融公庫)、東京国税局、企業税制研究所(現日本税制研究所)を経て、平成23年9月に独立。
現在は通常の顧問業務の他、税務調査対策等のコンサルティング並びにセミナー及び執筆も主な業務として活動。とりわけ、平成10年以後の法人税制抜本改革を担当した元主税局課長補佐に師事した法令解釈をフル回転させるとともに、当局の経験を活かして予測される実務対応まで踏み込んで解説した、税制改正解説テキスト「超速」シリーズは毎年数百名の税理士が購入し、非常に高い支持を得ている。
著書に『最新リース税制』(共著)、『国際的二重課税排除の制度と実務』(共著)、『税務署の裏側』『社長、その領収書は経費で落とせます!』などがあり、現在納税通信において「税務調査の真実と調査官の本音」という200回を超えるコラムを連載中。
<参考サイト>
<著書>
(著者:大津留ぐみ / 大津留ぐみの記事一覧)