このコーナーでは、元国税調査官・税法研究者・税理士である松嶋洋氏のFacebookでのコメントをご紹介していきます。
今回は2月15日、20日、26日のコメント「内縁の妻給与に仮装経理の判決」「会計事務所職員が顧問契約解約隠して申告書偽造」「コンテナ型トランクルームに更正処分」の3件をご紹介します。
内縁の妻給与に仮装経理の判決
同族経営で、家族に給与を支給している中小企業は多いと思うのですが、内縁の妻の事案に対して厳しい判決が下されました。
T&A master No.822によると、東京高裁は、代表者の内縁の妻へ支払われた給与について、内助の功に報いるための生活保障の趣旨で支払われたものと認定し、仮装経理という判決を下したようです。
これに対してFacebookで、松嶋先生は、判決は厳しいとしつつも、国税職員も注目する判決なので要注意とコメントされています。
日頃から注意されていると思いますが、家族に給与を支給している場合、勤務実態はあるのか、給与が勤務実態に見合わず高額になっていないかなど、もう一度見直してみてはいかがでしょうか。
会計事務所職員が顧問契約解約隠して申告書偽造
会計事務所は、資金繰りや内部統制についてクライアントにアドバイスする立場にありますが、自分の事務所の不備には気付かなかったのでしょうか。
2020年2月10日付けの税のしるべによると、税理士法人の職員が、顧問契約の終了後も契約終了の事実を隠したまま確定申告書類を作成し続けて、元顧問先から税理士法人へ損害賠償訴訟が起こされたということです。
これに対してFacebookで、松嶋先生は、解約に気づかなかった使用者責任は大きいと厳しくコメントされています。
うちの事務所に限って、職員が不正をするはずはないと思ってしまいがちですが、内部統制を構築する責任は経営者である所長税理士にあるということを忘れてはいけません。
コンテナ型トランクルームに更正処分
国内のトランクルームの件数は右肩上がりですが、中でもコンテナ型トランクルームは、駐車場のように立地を気にする必要がない上に、アパートやマンションほど初期投資がかからないため人気です。
ところが、税務通信3594号によると、建築基準法に基づく建築確認の申請をしたコンテナついては、建物の耐用年数を適用すべきとして、更正処分がくだされているというのです。
これに対してFacebookで、松嶋先生は、コンテナは原則とし器具備品だが土地の定着物なら建物なので、法の趣旨を検討しないといけないとコメントされています。
税を専門とする法律家として、実態に合わせて法解釈をすることが求められています。
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元国税調査官・税法研究者 松嶋洋とは?
元国税調査官・税法研究者・税理士
松嶋 洋
平成14年東京大学卒業後、国民生活金融公庫(現日本政策金融公庫)、東京国税局、企業税制研究所(現日本税制研究所)を経て、平成23年9月に独立。
現在は通常の顧問業務の他、税務調査対策等のコンサルティング並びにセミナー及び執筆も主な業務として活動。とりわけ、平成10年以後の法人税制抜本改革を担当した元主税局課長補佐に師事した法令解釈をフル回転させるとともに、当局の経験を活かして予測される実務対応まで踏み込んで解説した、税制改正解説テキスト「超速」シリーズは毎年数百名の税理士が購入し、非常に高い支持を得ている。
著書に『最新リース税制』(共著)、『国際的二重課税排除の制度と実務』(共著)、『税務署の裏側』『社長、その領収書は経費で落とせます!』などがあり、現在納税通信において「税務調査の真実と調査官の本音」という200回を超えるコラムを連載中。
<参考サイト>
<著書>
(著者:大津留ぐみ / 大津留ぐみの記事一覧)