このコーナーでは、元国税調査官・税法研究者・税理士である松嶋洋氏のFacebookでのコメントをご紹介していきます。
今回は1月1日、3日、13日のコメント「居住物件の仕入税額控除を制限」「情報照会手続法制化で仮想通貨取引など課税強化」「鳩山邦夫氏遺族が7億円申告漏れ」の3件をご紹介します。
居住物件の仕入税額控除を制限
令和2年度税制改正大綱で、居住用賃貸建物の取得に係る消費税の仕入税額控除が制限されることになりました。
T&Amaster816によると、住宅の貸付けを目的とする居住用建物は、3年以内に譲渡等をした場合にだけ課税/非課税売上の実績に応じた仕入税額控除が認められ、3年以内に売却できなかった場合は仕入税額控除が全くできなくなるので注意が必要だと伝えられています。
これに対してFacebookで、松嶋先生は、改正大綱はマンション転売業者の倒産が増える悪法だと厳しく指摘しています。
購入から転売まで短期間の制約が設けられることになり、値上がり益を見込むことはより難しくなるでしょう。今後、居住用不動産を購入する事業者は、3年以内に転売可能か、不動産市況の調査と慎重な判断が迫られることになりそうです。
情報照会手続法制化で仮想通貨取引など課税強化
従来は、事業者の協力を得て任意で行われていた情報提供依頼ですが、令和2年1月1日から、国税庁の特定事業者等に対する情報照会手続として法制化されました。
2019年12月23日付けの税のしるべでは、情報照会手続の通達と事務運営方針について伝えており、求めに対して拒否した事業者に対して、質問検査拒否等の場合と同様の罰則が設けられるということです。
これに対してFacebookで、松嶋先生は、以前より深度ある調査が期待できると評価されています。また、事業者が不服申立てできるのは、情報提供要請の要件を満たしているか争う場合ではないかと解釈を示されています。
インターネットを利用して、仮想通貨など暗号資産取引や、ネット通販事業などを気軽に行える時代になり、納税義務者のすそ野も広がりました。時代に合った調査方法を取り入れて、適正課税が行われることを期待します。
鳩山邦夫氏遺族が7億円申告漏れ
大物政治家の相続をめぐり、国税から7億円の申告漏れが指摘されました。
2020年1月13日付けの朝日新聞デジタルによると、鳩山邦夫元総務相の遺族が東京国税局から相続財産について約7億円の申告漏れを指摘されたということです。鳩山氏から新声会(鳩山氏が代表を務めていた資金管理団体)に対する約4億5千万円の貸付金が、申告漏れになっていたそうです。
これに対してFacebookで、松嶋先生は、代表者借入金が相続財産にならないというOB税理士もいるが明らかな間違いとコメントされています。
相続税申告はミスをすると追徴課税が多額になりがちなので、法に立ち返って慎重に行うことが必要ですね。
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元国税調査官・税法研究者 松嶋洋とは?
元国税調査官・税法研究者・税理士
松嶋 洋
平成14年東京大学卒業後、国民生活金融公庫(現日本政策金融公庫)、東京国税局、企業税制研究所(現日本税制研究所)を経て、平成23年9月に独立。
現在は通常の顧問業務の他、税務調査対策等のコンサルティング並びにセミナー及び執筆も主な業務として活動。とりわけ、平成10年以後の法人税制抜本改革を担当した元主税局課長補佐に師事した法令解釈をフル回転させるとともに、当局の経験を活かして予測される実務対応まで踏み込んで解説した、税制改正解説テキスト「超速」シリーズは毎年数百名の税理士が購入し、非常に高い支持を得ている。
著書に『最新リース税制』(共著)、『国際的二重課税排除の制度と実務』(共著)、『税務署の裏側』『社長、その領収書は経費で落とせます!』などがあり、現在納税通信において「税務調査の真実と調査官の本音」という200回を超えるコラムを連載中。
<参考サイト>
<著書>
(著者:大津留ぐみ / 大津留ぐみの記事一覧)