このコーナーでは、元国税調査官・税法研究者・税理士である松嶋洋氏のFacebookでのコメントをご紹介していきます。
初回は9月29日、10月8日、9日のコメント「役員退職金目的の生命保険の解約タイミングは?」「デジタル課税案可決なら日本の税収減少」「国税庁が廃業時の消費税課税徹底へ」の3件をご紹介します。
役員退職金目的の生命保険の解約タイミングは?
損金算入の税務メリットや資金繰りの観点から、役員退職金目的で生命保険に加入しているという企業は多いと思います。ところが、せっかく生命保険も解約時期を誤ると税務メリットが受けられなくなってしまうというのです。
エキサイトニュースに松嶋先生が寄稿した記事によると、解約返戻金は実務的に支払通知日に収益計上するのが一般的なのため、支払通知日と退職金が経費になるタイミングを合わせないと解約返戻金に課税されて、多額の法人税を支払う事態になってしまうということです。
さらにFacebookで、松嶋先生は、生命保険の収益計上時期と退職金の損益算入時期はイコールではないので注意が必要とコメントしています。
役員退職金になるはずの資金が税金で流出してしまわないように、最後が肝心ということです。
デジタル課税案可決なら日本の税収減少
デジタル企業などグローバルで事業を展開する企業の税収について、OECDは国際課税ルール見直しのための枠組み案を公表した模様です。
日本経済新聞によると、税収を各国に配分する手続きは2段階になっており、第1段階で無形資産で稼いだ利益を切り分け、第2段階で各国の売上高の割合に応じて各国に課税権が帰属するという仕組みのようです。17日から開催されるG20財務相・中央銀行総裁会議に提出され、2020年1月の大筋合意に向けて、詰めの議論が行われます。
この記事に対して松嶋先生は、無形資産による配分の分かりづらさを指摘するとともに、「日本は税収下がりそう」とコメントしています。
グローバル化の流れの中で、経済規模の小さい国にとって不利な税制が国際ルールとして可決されそうです。
国税庁が廃業時の消費税課税徹底へ
開業時はしっかり手続をしても、特に資金繰りや事業がうまくいかず廃業するケースでは、廃業手続になかなかモチベーションが上がらないという方も多いのではないでしょうか。
日本経済新聞によると、会計検査院が廃業した個人事業主の確定申告をサンプル調査した結果、4割近い事業主に消費税の課税漏れがあり、国税庁に対して課税を徹底するよう求めたそうです。
この記事に対して松嶋先生は、「廃業してお金がないのに課税を求める検査院はえげつない」、とコメントしています。
これから廃業予定で、高額資産を事業用として購入しているクライアントがいる方は、消費税の納税資金についてアドバイスが必要になるかもしれません。
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元国税調査官・税法研究者 松嶋洋とは?
元国税調査官・税法研究者・税理士
松嶋 洋
平成14年東京大学卒業後、国民生活金融公庫(現日本政策金融公庫)、東京国税局、企業税制研究所(現日本税制研究所)を経て、平成23年9月に独立。
現在は通常の顧問業務の他、税務調査対策等のコンサルティング並びにセミナー及び執筆も主な業務として活動。とりわけ、平成10年以後の法人税制抜本改革を担当した元主税局課長補佐に師事した法令解釈をフル回転させるとともに、当局の経験を活かして予測される実務対応まで踏み込んで解説した、税制改正解説テキスト「超速」シリーズは毎年数百名の税理士が購入し、非常に高い支持を得ている。
著書に『最新リース税制』(共著)、『国際的二重課税排除の制度と実務』(共著)、『税務署の裏側』『社長、その領収書は経費で落とせます!』などがあり、現在納税通信において「税務調査の真実と調査官の本音」という200回を超えるコラムを連載中。
<参考サイト>
<著書>
(著者:大津留ぐみ / 大津留ぐみの記事一覧)