このコーナーでは、元国税調査官・税法研究者・税理士である松嶋洋氏のFacebookでのコメントをご紹介していきます。
今回は9月16日、21日、26日のコメント「YouTuber必要経費の範囲は」「消費税増税で還付加算金不公平感増す」「泉佐野市ふるさと納税で総務省が異例の事実上敗訴」の3件をご紹介します。
YouTuberの必要経費の範囲はとても狭い!?
子どもがなりたい職業の上位にランキングされるYouTuber。遊んだり楽しいことをするのが仕事になる一方で、驚くほど収入があることも人気の理由ではないでしょうか。他方、大人目線でYouTuberという職業を見ると、どれぐらい所得税を払っているか、また、どのような経費が認められるのかも気になるところです。
この点、月刊税務QA2019年9月号が「副業により生じる所得の課税関係」について掲載しており、衣服等は業務で身に付けたのか私的に身に付けたのか合理的に区別できないため否認されると説明しています。
これに対して松嶋先生は、「昭和40年に出来た現行所得税法は時代錯誤も甚だしい」とし、プライベートな部分がわずかでもあればアウトになってしまうとコメントされています。
YouTuberとして成功したら、収入の多さに驚き、所得税の額にも驚くことになりそうです。
消費税増税は大手輸出企業に有利?還付加算金で不公平感増す
消費税は大手と中小で不公平感が生じやすい税目で、増税されても価格に転嫁しづらく、悩みを抱えている中小企業者は多いのではないでしょうか。
この点、2019年9月18日付の東京新聞で、輸出免税制度が適用になるトヨタ自動車や日産自動車など大手輸出企業の還付加算金は、増税によりさらに膨らみ、不公平感が大きくなると指摘しています。さらに記事では、日大教授の税理士の阿部徳幸氏も、「増税で中小零細企業は負担を強いられる一方、大手輸出企業の還付加算金が増えるのはおかしい。」と制度の見直しを訴えています。
これに対して松嶋先生は、「加算金の利率は高いが輸出免税の廃止は非現実的なので、消費税の還付加算金を制限する法改正をした方が良い」とコメントされています。
不公平感を増長する還付加算金制度は是正されるのでしょうか。
泉佐野市ふるさと納税で総務省が異例の事実上敗訴
ことの発端は、今年5月、総務省がふるさと納税システムを許認可制に切り替えると発表したことから始まりました。これにより、大阪府泉佐野市など4市町村が、ふるさと納税の新制度の対象から除外され、議論が起きました。
ところが、税のしるべ2019年9月16日号によると、国地方係争処理委員会が、総務省の判断は法律の委任する基準の範囲を超えるおそれがあるとして、再検討を求める勧告を出したということです。
これに対して松嶋先生は、「遡及立法的な問題を指摘した判断。異例中の異例」と驚きを隠せない様子です。
すでに生活に浸透しているふるさと納税だけに、法改正で厳しく規制されることになれば、制度利用への影響は大きそうです。
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元国税調査官・税法研究者 松嶋洋とは?
元国税調査官・税法研究者・税理士
松嶋 洋
平成14年東京大学卒業後、国民生活金融公庫(現日本政策金融公庫)、東京国税局、企業税制研究所(現日本税制研究所)を経て、平成23年9月に独立。
現在は通常の顧問業務の他、税務調査対策等のコンサルティング並びにセミナー及び執筆も主な業務として活動。とりわけ、平成10年以後の法人税制抜本改革を担当した元主税局課長補佐に師事した法令解釈をフル回転させるとともに、当局の経験を活かして予測される実務対応まで踏み込んで解説した、税制改正解説テキスト「超速」シリーズは毎年数百名の税理士が購入し、非常に高い支持を得ている。
著書に『最新リース税制』(共著)、『国際的二重課税排除の制度と実務』(共著)、『税務署の裏側』『社長、その領収書は経費で落とせます!』などがあり、現在納税通信において「税務調査の真実と調査官の本音」という200回を超えるコラムを連載中。
<参考サイト>
<著書>
(著者:大津留ぐみ / 大津留ぐみの記事一覧)