このコーナーでは、元国税調査官・税法研究者・税理士である松嶋洋氏のFacebookでのコメントをご紹介していきます。
初回は6月29日、7月2日、5日のコメント「国税庁が約100億円の申告漏れを指摘”!?名古屋の教育出版社相続案件」「相続税申告漏れを防ぐ新制度CSRの効果」「新事業承継税制の制度設計に苦言」の3件をご紹介します。
国税庁が約100億円の申告漏れを指摘”!?名古屋の教育出版社相続案件
「国税庁長官の指示で財産を再評価できるとする特例的措置」というこの記事の認識は誤っていますね。総則6項は特例的措置でもできる規定でもありません。…
朝日新聞の記事によると、教育系出版社「中央出版」創業者の相続に際し、名古屋国税局から約100億円の申告漏れを指摘された遺族がこれを不服とし、名古屋国税不服審判所に審査請求したということです。
この記事に対し、松嶋先生は、財産評価基本通達6項の認識誤りと、持ち株外しが著しく不適当と言えるかについてコメントしています。
裁判では、持ち株外しが不適当か争われることになるのでしょうか。
相続税申告漏れを防ぐ新制度CSRの効果
CRSが効果的に機能しているようですね。非居住者を本国に報告なんで、外貨預金があるだけで要注意リストに載ります。自動的、電子的、義務的ですから、もはや逃げ場はないでしょう。申告すれば何にも問題ありませんが、ろくに勉強しない専門家から、…
日本経済新聞の記事によると、約100カ国・地域の税務当局が金融口座の情報交換を行う新制度CSRが始まり、海外資産がからむ相続税の申告漏れを指摘した事例が出ているそうです。
この記事に対し、CSRは効果的に機能していて、海外は安全と言われても信用せずきちんと申告するように指摘しています。
相続税申告準備を進めている顧問先に対する注意喚起が必要そうです。
新事業承継税制の制度設計に苦言
相続に続いて、贈与税に関する記事が取り上げられています。
一気に4倍に増えたようですが。不利な旧制度から乗り換えできないのが残念ですね。本来は乗り換えの経過措置置くんですけどね。敢えて別な条文を作り、時限措置とするのがイケてない。都道府県や税務署も、いろいろとサポートしてくれるので、…
日本経済新聞の記事によると、2018年度4月から新たな事業承継税制が始まっており、18年分の贈与税支払いが約400億円猶予されたそうです。
この新制度に対して、松嶋先生は、不利な旧制度から乗り換えるための経過措置がないと苦言を呈しています。
中小企業の後継者不足が問題になる中、より使いやすい制度設計を望むばかりです。
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元国税調査官・税法研究者 松嶋洋とは?
元国税調査官・税法研究者・税理士
松嶋 洋
平成14年東京大学卒業後、国民生活金融公庫(現日本政策金融公庫)、東京国税局、企業税制研究所(現日本税制研究所)を経て、平成23年9月に独立。
現在は通常の顧問業務の他、税務調査対策等のコンサルティング並びにセミナー及び執筆も主な業務として活動。とりわけ、平成10年以後の法人税制抜本改革を担当した元主税局課長補佐に師事した法令解釈をフル回転させるとともに、当局の経験を活かして予測される実務対応まで踏み込んで解説した、税制改正解説テキスト「超速」シリーズは毎年数百名の税理士が購入し、非常に高い支持を得ている。
著書に『最新リース税制』(共著)、『国際的二重課税排除の制度と実務』(共著)、『税務署の裏側』『社長、その領収書は経費で落とせます!』などがあり、現在納税通信において「税務調査の真実と調査官の本音」という200回を超えるコラムを連載中。
<参考サイト>
<著書>
(著者:大津留ぐみ / 大津留ぐみの記事一覧)