【速報】今年の税理士試験結果が発表!合格者は約1,900名減!平成30年度(2018年)税理士試験合格発表を分析!

平成30年度・第68回 税理士試験 合格発表_2018

本日、平成30年度(2018年度/第68回)税理士試験の結果が発表されました。

合格された皆様、おめでとうございます。

また、惜しくも合格とはならなかった皆様、来年は良い結果をつかめますよう祈念しております。

さて、今年の税理士試験の結果に関する考察をお届けします。

今年は、

  • 合格者の総数が前年比1,900名の減少(実人数)
  • 合格者数は全科目で減少
  • 30歳以下の官報合格者数はわずか150名

と言った点が注目ポイントです。

受験者・合格者数と合格率

合格者は4,716名。昨年から1,918名の減少!

本年の税理士試験の受験者・合格者数と合格率は以下のようになっています。

  • 受験者数:30,850名(延べ42,063名)
  • 合格者数合計(実人数):4,716名(官報合格者数:672名、一部科目合格者数:4,044名)
  • 合格率:15.3%

本年の合格者(一部科目合格者含む)は4,716名であり、昨年の6,634名から1,918名の大幅減となっています。また、合格率は昨年の20.1%から15.3%へと下回る結果となりました。

この大幅減という結果は一見、ショッキングに見えますが、実際は昨年の試験は財務諸表論によって合格者数と合格率が大きく底上げされていたため、その影響を除けば、例年の水準に戻っただけと言えます。

ただし、以下のグラフの通り、合格者数は平成24年度をピークに減り続けていますので、中期的には合格者数の減少が止まっていないという厳しい現状が見て取れます。

【平成30年度(第68回)税理士試験の受験者数・合格者数と推移】

2018年度_税理士試験_受験者数・合格者数推移
※クリックするとグラフが拡大します。

合格率に関しては、多少の変動はありつつも、中期的には15~20%の間で推移していると言えます。

【平成30年度(第68回)税理士試験の合格率と推移】

2018年度_税理士試験_合格率推移グラフ※クリックするとグラフが拡大します。

官報合格者の数は672名と昨年の795名から123名ほど減少しており、4年ぶりに増加した昨年の結果むなしく再びの減少となっており、中期的にも減少傾向にある結果となりました。

【平成30年度(第68回)税理士試験の官報合格者数と推移】

2018年度_税理士試験_官報合格者数推移
※クリックするとグラフが拡大します。

男女別の合格者数

女性の合格者比率は26.6%

合格者の性別は以下のとおりです。合格者に女性が占める割合は26.6%となっており、昨年より低下したものの、全体の約4分の1が女性となっています。

税理士試験の合格者の減少に伴い、女性の合格者の総数は少なくはなってきていますが、女性比率はこの4~5年では27%前後を維持しています。

  • 合格者合計:4,716名(男性:3,461名、女性:1,255名)…女性比率26.6%
  • 官報合格者:672名(男性:501名、女性:171名)..女性比率25.4%
  • 一部科目合格者:4,044名(男性:2,960名、女性:1,084名)..女性比率26.8%

【平成30年度(第68回)税理士試験合格者に占める女性人数・比率と推移】

2018年度_税理士試験_女性人員数・比率推移
※クリックするとグラフが拡大します。

昨今の税理士業界では、少しずつですが、女性が働きやすい環境を整える会計事務所も見られつつあります。特に東京などの都市圏の会計事務所では、結婚・出産後も女性が復帰できる制度を整えたり、主婦向けにリモートワークや時短勤務制度を導入したりする会計事務所も一部では見られはじめています。

会計事務所業界の仕事は手に職がつき、時短・リモート勤務なども実現しやすい職種でもありますので、今後この流れが拡大していくかどうかが女性の受験者数に影響を及ぼしていくかもしれません。

年齢別の合格者数

30歳以下の官報合格者はわずか150名!

年齢別の合格者数は以下のとおりです。例年通り若い年齢ほど合格率が高くなっています。

一方で、30歳以下の官報合格者はわずか150と例年通り若手税理士の少なさが読み取れます。

この150名と言う数字は、47都道府県で平均すると1都道府県当たり約3名という人数になり、若手税理士の価値の高さがわかる数字となっています。

【平成30年度(第68回)税理士試験の年齢別合格者数・合格率】

2018年度_税理士試験_年齢別_合格者数_合格率
※クリックするとグラフが拡大します。

一方で、30歳以下の官報合格者数は以下のグラフの通り、年々減少傾向にありますので、高齢化の進む税理士業界において、若手税理士の供給が少ないことは大きな課題と言えるでしょう。

【30歳以下の官報合格者数の推移】

2018年度_税理士試験_30歳以下の官報合格者数※クリックするとグラフが拡大します。

科目別の受験者数・合格者数・合格率

合格率最高は固定資産税の14.9%、最低は消費税法の10.6%

科目別の受験者数・合格者数・合格率は以下のとおりです。

例年の傾向通り、簿記論と財務諸表論の合格者数や合格率が高い傾向にあり、最も合格率が高かったのは固定資産税の14.9%でした。

逆に、合格者数が最も少なかったのは事業税の46名、合格率が最低だったのは消費税法の10.6%でした。

昨年は財務諸表論の29.6%という非常に高い合格率に引っ張られ、全体の合格率も17.0%と高止まりしていましたが、今年はいずれの科目も10~15%の幅に収まり、合計での合格率も12.8%となっています。

【平成30年度(第68回)税理士試験の科目別受験者・合格者数・合格率】

2018年度_税理士試験_科目別_合格者数_合格率
※合格者数・受験者数は複数科目受験者・合格者を含む延べ人数。
※クリックするとグラフが拡大します。

以上、本年の税理士試験合格発表の概要をお届けしました。

本年の税理士試験の合格者数は、前年比で約1,900名の減少という結果になりました。昨年は財務諸表論の合格者増もあって、前年比1,000名増という結果でしたが、本年はそれを打ち消す減少数となり、改めて税理士を目指す人材が減り続けている実情を表す内容となりました。

一方で、会計事務所業界内では都市部中心で起こっていた人不足が全国的にも拡大しているとの声が聞こえはじめています。

皮肉なことに受験者数や合格者数が減少し人不足が顕著になることによって、逆に、就職は容易となり、実務経験者や科目合格者の市場価値は大きく高まることとなっています。

税理士を目指す受験生にとっては、この点は大きな安心材料と言えるでしょう。

※参考:本記事は平成30年度(第68回)税理士試験結果(国税庁)をもとに作成致しました。

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