本年(平成30年度・第68回)の税理士試験の開催もいよいよ来月(8月7日~9日)となりました。
先日、本年の税理士試験の申込者数が国税庁より発表されましたが、ここ数年の申込者数減少の流れを受け、本年の受験者数も前年比で延べ5,040名(7.9%)の減少となりました。
本記事では、本年の税理士試験受験者数に関する考察をお届けします。
今年の税理士試験、受験者申込者数の傾向は?
過去7年間の申込者数(延べ人数)推移
以下が今年も含めた税理士試験の過去7年間の申込者数(延べ人数*)の推移です。
ご覧の通り、延べ人数で見ると大きく減少し続けています。
※画像をクリックすると拡大します。
*延べ人数:すべての科目の申込者数を合計した人数。複数科目受験する方がおられるため延べ人数となります。
平成30年度・第68回 税理士試験の受験申込者数
また、本年の税理士試験の受験申込者数**の内訳は以下のとおりです。
受験者数は昨年と比較して大きく減少しています。
【受験申込者数】
- 本年(平成30年度):38,525名
- 昨年(平成29年度):41,242名
受験申込者数は、前年比93.4%でした。前年比で2,717名の減少となっています。
【受験申込者数(延べ人数)】
- 本年(平成30年度):58,400名
- 昨年(平成29年度):63,440名
延べ人数での受験申込者数は、前年比92.1%でした。人数ベースでは5,040名の減少となっています。
**受験申込者数:本記事での数字は税理士試験の「申込者数」です。実際の「受験者数」は異なり、その数字は12月に国税庁から発表されます。
科目別の受験者数は!?すべての科目で前年割れ
また、科目別の受験申込者数は以下の通りです。
【科目別の受験申込者数】
科目 | 受験者数 | 前年比 |
簿記論 | 16,323名 | 93.5% |
財務諸表論 | 12,639名 | 86.2% |
所得税法 | 2,373名 | 95.3% |
法人税法 | 6,122名 | 90.8% |
相続税法 | 4,114名 | 92.7% |
消費税法 | 10,519名 | 97.1% |
酒税法 | 887名 | 82.0% |
国税徴収法 | 2,788名 | 96.6% |
住民税 | 692名 | 98.4% |
事業税 | 618名 | 79.6% |
固定資産税 | 1,325名 | 96.9% |
合計 | 58,400名 | 92.1% |
昨年の申込者数は、国税徴収法の受験申込者数が前年を上回っていましたが、本年はすべての科目において昨年を下回っており、特に財務諸表論、酒税法、国税徴収法の3科目での減少率が顕著です。
特に、酒税法に関しては申込者数が1,000名割れ、事業税においては前年比79.6%となりわずか618名となっています。
また、簿記論、財務諸表論という初学者向けの科目も減少していることから、新しく税理士を目指す人の数が今年も減っていると推察されます。
税理士受験生の就職活動は?
空前の売り手市場に就職説明会も前倒し
また、会計事務所業界においては、税理士試験終了後は各会計事務所が採用活動を行う就職・転職シーズンとなります。
今年の傾向としては、
- 会計事務所側はここ数年の採用難に伴って採用意欲が高く、求人数も多い。
- 受験生や若手の経験者が減少中のため、多くの会計事務所がで採用ハードルが下がっている。(経験があまりなくても就職しやすい)
という傾向があり、今年も昨年までと同様に求職者(税理士受験生)が就職しやすい市場(売り手市場)と言えます。
この会計事務所が採用に苦戦している状況は就職説明会の開催日程にも現れており、税理士試験前の6月~7月から就職説明会を開催する会計事務所も多くなっています。
なお、当サイトでは各主要都市の会計事務所の就職説明会の情報もまとめてありますので、下記もご参考頂ければと思います。
- 2018年・夏 会計事務所の就職説明会の日程まとめてみた【関東・東京・横浜編】
- 2018年・夏 会計事務所の就職説明会の日程まとめてみた【関西・大阪・京都編】
- 2018年・夏 会計事務所の就職説明会の日程まとめてみた【名古屋、福岡など関東・関西以外の地域編】
税理士受験生が減ると就職は有利になる!?
税理士や会計士、弁護士などの士業は、AI(人工知能)などのテクノロジーによって代替される職業の代表としてメディアに取り上げられることも多く、税理士試験の受験者の減少もその煽りを受けていると推察されます。
一方で、税理士を目指す人材が減少することによって、限られた人材を会計事務所が取り合うこととなり、受験者の就職は有利になるという現象が起きています。
税理士の将来性に関する厳しい話が多い中、税理士試験にチャレンジしている人たちが報われやすい環境になっていると言えますので、受験者のみなさまには前向きに頑張って頂ければと思います。
さて、税理士試験まで残すところ1ヶ月を切りました。
みなさまのご健闘をお祈りしております!