8月24日から9月7日にかけて、税理士関連のニュースが複数リリースされています。
相続専門のランドマーク税理法人が拠点拡大、千葉商大が税士法人と初のインターン協定を締結、日本税理士連合会によるテレビCM配信に関する記事など、幅広くご紹介します。
相続税課税件数増加に対応。ランドマーク税理士法人が拠点網拡充
- ランドマーク税理士法人、首都圏郊外の拠点網拡充(日本経済新聞 2017年8月24日付)
2015年に相続税の税制改正が行われたことは、まだ記憶に新しいのではないでしょうか。
一時の不動産バブルは平成3年をピークに崩壊。それに伴い相続税の課税件数は減少していきました。世代間の公平な税負担を実現するために、相続税の税収を拡大すべく改正が行われ、課税件数は急増中です。
これを受けて、拠点網を拡大しているランドマーク税理士法人に関する記事が、日本経済新聞より出ています。
相続業務を専門に扱うランドマーク税理士法人(横浜市)は首都圏郊外の拠点網を拡充する。多摩への玄関口となるJR新宿駅近くに拠点を新設したほか、今後5年以内に東京都立川市や千葉県市川市にも拠点を設ける計画だ。2015年の税制改正で相続税の課税対象が広がっており、首都圏郊外で相続対応を迫られる世帯の利用取り込みを狙う。
引用元:ランドマーク税理士法人、首都圏郊外の拠点網拡充(日本経済新聞 2017年8月24日付)
記事によると、新宿駅のほかにも、今後は立川市や市川市、さいたま市など東京近郊での拠点開設も検討しているそうです。税制改正だけではなく、今後は老齢化に伴い対象者が増加する見込みとのこと。利用客の取り込みに先手をかけた形です。
相続税の課税件数が増えたってホント?
税制が改正されたけど、まだ身近な税金ではないと思っている方へ。財務省では改正前・後の、相続税の課税状況の推移に関する資料を公表しています。
改正前後の平成26年度と平成27年度で、以下の数値を比較しました。(()内は、平成26年度数値。)
死亡者数:1,290,444人(1,273,004人)
課税件数:103,043件(56,239件)
課税割合:8.0%(4.4%)
引用元:相続税・贈与税に係る基本的係数に関する資料(財務省)
なんと、改正の影響を受けて相続税の課税件数は倍になっています。さらに財務省の同資料によると、相続税の課税割合の上昇に加えて、死亡者数も右肩上がりで推移しています。
自分は関係ないと思っている方も、早めに相談してみてはいかがですか。
大学が学生を派遣。有給インターンの職場は“税理士法人”!?
- 千葉商大 税理士法人でインターン(日本経済新聞 2017年9月7日付)
“会計系の就職に強い”ブランドイメージを構築したい大学と、“優秀な人材を確保したい”税理士法人の意向がマッチしました。
千葉商科大学と税理士法人高野総合会計事務所のインターンシップに関する記事を、日本経済新聞が報じています。
千葉商科大学(千葉県市川市)は6日、税理士法人高野総合会計事務所(東京・中央)と人材育成に関する包括協定を交わした。千葉商大の学生を有給のインターンとして最長1年程度派遣し、税理士の仕事を肌で学ばせる。近年は税理士試験の志願者が減少し、全国的に若手の人材が不足している。大学と税理士法人が協力し、有望な人材を発掘する。
引用元:千葉商大 税理士法人でインターン(日本経済新聞 2017年9月7日付)
記事によると、インターンは有給のため、インターン期間を税理士登録に必要な実務経験にカウントできるそうです。資格取得後も短期間で税理士登録できるとなれば、税理士を目指す学生にとって魅力的な大学になりそうですね。
テレビCMにホラン千秋さん。日本税理士連合会
- テレビCM動画の掲載について:日本税理士連合会(日本税理士会連合会 2017年9月1日付)
日本税理士連合会のテレビCM、もうご覧になりましたか?
9月1日から、日本税理士連合会は、全国統一キャラクターとしてタレントのホラン千秋さんを起用し、広報活動の一環としてテレビとラジオでCMを配信しています。
引用元:テレビCM動画の掲載について:日本税理士連合会(日本税理士会連合会 2017年9月1日付)
キャッチコピーは「税理士は、あなたの頼れるパートナー。」とのこと。インパクトに欠けるように思えますが、税理士の好感度アップにどれくらい貢献できるのでしょうか。
税理士受験者減少に歯止めがかからない現状
国税庁は、HPで税理士受験者数を公表しています。
これによると直近3年間の受験者数は、平成26年度は41,031人、平成27年度は38,175人、平成28年度は35,589人でした。極端に受験者数が減少しており、歯止めがかからない様子がうかがえます。
(「税理士試験情報」国税庁 より)
税理士業界の将来性を憂慮して、受験を躊躇している様子がうかがえます。今回のCMだけでは受験者増加の追い風にはならないのでは…と思うのですが、いかがでしょうか。
(著者:大津留ぐみ / 大津留ぐみの記事一覧)