本年（平成29年度・第67回）の税理士試験の開催もいよいよ来月（8月8日～10日）となりました。
先日、国税庁より、本年の税理士試験の申込者数が発表となりましたが、ここ数年の申込者数減少の流れを受け、本年の受験者申込者数も前年比で延べ4,870名（7.1%）の減少となりました。
参考：今年の税理士試験の申込者数は延べ5,902名も減少！でも、就職は有利に！？受験者数や就職の動向を解説【平成28年（2016年）第66回 税理士試験】
過去6年間の申込者数（延べ人数）推移
以下が税理士試験の過去6年間の申込者数（延べ人数*）の推移です。（画像をクリックすると拡大します。）
*すべての科目の申込者数を合計した人数。複数科目受験する方がおられるため延べ人数となります。
税理士試験、今年の傾向は？
平成29年度・第67回 税理士試験の受験申込者数
国税庁の発表によると、本年の税理士試験の受験申込者数**の内訳は以下のとおりです。
受験者数は昨年と比較して大きく減少しています。
**本記事での数字は税理士試験の「申込者数」です。実際の「受験者数」は異なり、その数字は12月に国税庁から発表されます。
【受験申込者数】
- 本年（平成29年度） ：41,242名／前年比93.6%…前年比2,802名の減少
- 昨年（平成28年度） ：44,044名
【受験申込者数（延べ人数*）】
- 本年（平成29年度） ：63,440名／前年比92.9％…前年比4,870名の減少
- 昨年（平成28年度） ：68,310名
*すべての科目の申込者数を合計した人数。複数科目受験する方がおられるため延べ人数となります。
【科目別の受験申込者数】
また、科目別の受験申込者数は以下の通りです。
| 科目 | 受験者数 | 前年比 |
| 簿記論 | 17,453名 | 92.7% |
| 財務諸表論 | 14,664名 | 91.9% |
| 所得税法 | 2,489名 | 93.6% |
| 法人税法 | 6,744名 | 91.3% |
| 相続税法 | 4,439名 | 91.5% |
| 消費税法 | 10,837名 | 94.0% |
| 酒税法 | 1,082名 | 98.3% |
| 国税徴収法 | 2,886名 | 109.8% |
| 住民税 | 703名 | 81.2% |
| 事業税 | 776名 | 86.4% |
| 固定資産税 | 1,367名 | 84.5% |
| 合計 | 63,440名 | 92.9% |
今年の受験傾向は？－昨年より申込者が増えたのは国税徴収法だけだが…
本年の科目別傾向を見てみると、国税徴収法を除く全ての科目において受験者数が昨年を下回っています。また、総数においても前年比92%と昨年を下回っています。
個別科目で見てみると、今年は、特に住民税、事業税、固定資産税の3科目での減少が顕著です。
また、簿記論、財務諸表論という初学者向けの科目も減少していることから、新しく税理士を目指す人の数も減っていると推察されます。
税理士受験生の就職活動は？－空前の売り手市場で就職は有利！？
また、会計事務所業界においては、税理士試験終了後は各会計事務所が採用活動を行う就職・転職シーズンとなります。
今年の傾向としては、
- 景気回復にともなって会計事務所側の採用意欲は高く、求人も多い。
- 受験生が減少中のため、多くの会計事務所が採用に苦戦。採用ハードルが下がっている。
という傾向があり、求職者（税理士受験生）が就職しやすい市場（売り手市場）と言えます。
会計事務所業界のこれまでの慣例では、税理士試験後に就職説明会を開催する会計事務所がほとんどでしたが、この2～3年は各会計事務所が採用に苦戦していることから、税理士試験前の7月から就職説明会を開催する会計事務所も多くなっています。
当サイトでは各主要都市の会計事務所の就職説明会の情報もまとめてありますので、下記もご参考ください。
- 2017年・夏の会計事務所の就職説明会の日程をまとめてみた【関東・東京・横浜編】
- 2017年・夏の会計事務所の就職説明会の日程をまとめてみた【関西・大阪・京都編】
- 2017年・夏の会計事務所の就職説明会の日程をまとめてみた【名古屋、福岡、札幌、広島、静岡、金沢など関東・関西以外の地域編】
ここ数年、税理士や会計士、弁護士などの士業は、AI（人工知能）などのテクノロジーによって代替される職業の代表としてメディアに取り上げられるなど、税理士試験の受験生減少もその煽りを受けているのではないかと推察されます。
一方で、受験生が減少することによって、会計事務所は人材採用に苦戦し、受験生の就職は有利になるという状況となっています。税理士の将来性に関する厳しい話が多い中、税理士試験にチャレンジしている人たちが報われやすい環境になっていると言えるでしょう。
そして、ここで当サイトからひとつお知らせがあります。
会計事務所名鑑では、今年、税理士受験生や税理士、会計事務所で働く方々のための就職・転職イベントを開催します。
これまで業界で開催されてきた就職フェアと少し趣向を変えて、
- これからの業界を担う「成長中の若い会計事務所」が中心に出展。
- クラウド会計ソフトfreeeの創業者・佐々木大輔氏によるトークセッションを開催。
- 面接だけではなく、交流や話を聞くだけの参加もOK。（今すぐ就職や転職を考えてない人も参加OK）
といった点が特徴のイベントです。
現在、参加申込み受付中ですのでご興味のある方は下記よりお申込みください。
さて、税理士試験まで残すところ1ヶ月を切りました。
税理士受験生のみなさまのご健闘をお祈りしております！
