本年(平成28年度・第66回)の税理士試験がいよいよ来週(8月9日~11日)となりました。
以前の記事では税理士試験の受験者数がここ数年で大きく減少してきていることをお伝えしましたが、本年の税理士試験の申込者数もこれまでの流れを受け、前年比で延べ5,902名(7.95%)の減少となりました。
参考:税理士を目指す人が9,000名も減っている!?税理士試験の受験者数や合格者数を分析してみた:税理士試験分析(1)
税理士試験、今年の傾向は?
平成28年度・第66回 税理士試験の受験申込者数
国税庁の発表によると、本年の税理士試験の受験申込者数*の内訳は以下のとおりです。
受験者数は昨年と比較して大きく減少しています。
*本記事での数字は税理士試験の「申込者数」です。実際の「受験者数」は異なり、その数字は12月に国税庁から発表されます。
【受験申込者数】
- 本年(平成28年度):44,044名/前年比93.4%…前年比3,101名の減少
- 昨年(平成27年度:47,145名
【受験申込者数(延べ人数)**】
- 本年(平成28年度):68,310名/前年比92.0%…前年比5,902名の減少
- 昨年(平成27年度:74,212名
**すべての科目の申込者数を合計した人数。複数科目受験する方がおられるため延べ人数となります。
【科目別の受験申込者数】
また、科目別の受験申込者数*は以下の通りです。
科目 | 受験者数 | 前年比 |
簿記論 | 18,822名 | 88.7% |
財務諸表論 | 15,958名 | 94.1% |
所得税法 | 2,658名 | 92.9% |
法人税法 | 7,389名 | 92.6% |
相続税法 | 4,849名 | 93.1% |
消費税法 | 11,523名 | 92.1% |
酒税法 | 1,101名 | 87.5% |
国税徴収法 | 2,628名 | 99.2% |
住民税 | 866名 | 87.8% |
事業税 | 898名 | 90.5% |
固定資産税 | 1,618名 | 102.8% |
合計 | 68,310名 | 92.0% |
今年の受験傾向は?-昨年より申込者が増えたのは固定資産税だけだが…
本年の科目別傾向を見てみると、固定資産税を除く全ての科目において受験者数が昨年を下回っています。また、総数においても前年比92%と昨年を下回っています。
特に簿記論という初学者向けの科目の減少が顕著ですので、新しく税理士を目指す人の数が減っているということも推察されます。
また、固定資産税の受験者は102.8%とやや増加しているものの、昨年の前年比が85.8%と大きく減少していたことから、中期的に見ると減少傾向にあるといえます。
税理士受験生の就職活動は?-空前の売り手市場で就職は有利!?
また、会計事務所業界においては、税理士試験終了後は各会計事務所が採用活動を行う就職・転職シーズンとなります。
今年の傾向としては、
- 景気回復にともなって会計事務所側の採用意欲は高く、求人も多い。
- 受験生が減少中のため、多くの会計事務所が採用に苦戦。採用ハードルが下がっている。
という傾向があり、求職者(税理士受験生)優位の売り手市場と言えます。
また、会計事務所業界のこれまでの慣例では、税理士試験後に就職説明会を開催する会計事務所がほとんどでしたが、この2~3年は各会計事務所が採用に苦戦していることから、中堅~大手を中心に、夏前・税理士試験前から就職説明会を開催する会計事務所も多くなっています。
なお、当サイトでは各主要都市の会計事務所の就職説明会の情報もまとめてありますので、ご参考ください。
- 2016年・夏の会計事務所の就職説明会の日程をまとめてみた【関東・東京・横浜編】
- 2016年・夏の会計事務所の就職説明会の日程をまとめてみた【関西・大阪・京都編】
- 2016年・夏の会計事務所の就職説明会の日程をまとめてみた【名古屋、福岡、札幌、広島、静岡、金沢など関東・関西以外の地域編】
ここ数年、マスコミや各種メディアにおいて税理士や公認会計士、弁護士などの士業業界の厳しさが取り上げられることも多くなり、その煽りを受けてか税理士の受験生も減少しています。
一方で、受験生が減少することによって、会計事務所側は特に若手層の採用に苦戦することとなり、受験生の就職は有利になるという傾向が見られます。
来年以降はどうなっていくのでしょうか?業界動向に要注目です。
さて、来週9日(火)よりいよいよ税理士試験が始まります。今年の夏はポケモンGOの大ヒットやリオオリンピックもあり、勉強や試験に集中しにくい環境かもしれませんが、税理士受験生のみなさまの追い込み状況はいかがでしょう!?
みなさまのご健闘をお祈りしております!