前回の記事⇒税理士を目指す人が9,000名も減っている!?税理士試験の受験者数や合格者数を分析してみた:税理士試験分析(1)
前回の記事では、税理士試験の合格者数や合格率を分析しましたが、今回は、税理士試験科目の合格率について分析してみようと思います。
11科目ある税理士試験科目ですが、一般的には法人税法や所得税法の難易度が高く、その次の難関科目としては消費税法や相続税法、逆に、簡単な科目としては酒税法、住民税法、固定資産税法などが挙げられます。
とは言え、ネットで検索してみてもこの辺りの難易度は人によって異なるようです。実際、税理士試験科目の難易度はそれぞれどうなっているのでしょうか?
今回、平成21年から平成25年までの5年間の試験結果をもとに合格率の平均を算出し、分析してみました。
税理士試験科目の合格率ランキングはこれだ!
過去5年間の税理士試験における各科目の合格者総数を総受験者数で割って算出した合格率は下記になります。
税理士試験科目の合格率ランキング
合格率:高い(簡単/合格しやすい)
↑
1位:財務諸表論 …16.00%
2位:住民税…15.60%
3位:事業税…13.68%
4位:所得税法…13.67%
5位:相続税法…12.63%
6位:国税徴収法…12.32%
7位:消費税法…12.20%
8位:法人税法…12.07%
9位:簿記論…11.82%
10位:酒税法…11.57%
11位:固定資産税…11.23%
↓
合格率:低い(難しい/合格しにくい)
全体で見ると、財務諸表論と住民税が突出して合格しやすく、簿記論、酒税法、固定資産税が難関となっています。
また、5年間の合格者総数(39,336名)を総受験者数(300,641名)で割ると全体の平均は13.08%となり、4位の所得税法と5位の相続税法の間に位置することとなります。
上記のランキングに平均を当てはめると下記になります。
1位:財務諸表論 …16.00%
2位:住民税…15.60%
3位:事業税…13.68%
4位:所得税法…13.67%
←平均:13.08%→
5位:相続税法…12.63%
6位:国税徴収法…12.32%
7位:消費税法…12.20%
8位:法人税法…12.07%
9位:簿記論…11.82%
10位:酒税法…11.57%
11位:固定資産税…11.23%
平均が4位と5位の間に位置していますので、税理士試験の中では、財務諸表論、住民税、事業税、所得税法の4科目が平均より簡単な部類に入るのがわかります。
また、受験者や取得者の多い簿記論ですが、以外にも難関科目の法人税法よりも合格率が低いこともわかります。
合格率から見た「最も受かりやすい5科目」はこれだ!
では、各科目の合格率だけで選ぶと最も受かりやすい5科目はどれになるでしょうか?
合格率から最も受かりやすい税理士試験科目を選択すると、以下の5科目になります。
最も受かりやすい税理士試験科目(5科目)
合格率:高い(簡単/合格しやすい)
↑
1位:財務諸表論 …16.00% ←必須科目のため選択
2位:住民税…15.60%
3位:事業税…13.68% ←住民税と事業税いずれかのみ選択のため選択できない
4位:所得税法…13.67% ←法人税法と所得税法のいずれかの選択必須
5位:相続税法…12.63%
6位:国税徴収法…12.32%
7位:消費税法…12.20%
8位:法人税法…12.07%
9位:簿記論…11.82% ←必須科目のため選択
10位:酒税法…11.57%
11位:固定資産税…11.23%
↓
合格率:低い(難しい/合格しにくい)
つまり、最も合格可能性が高くなる5科目は
簿記論、財務諸表論、所得税法、相続税法、住民税
の組み合わせとなります。
なんだか個人の税務が得意な(法人税務が苦手な)税理士になりそうですね。。。(笑)
さて、それはさておき、税理士試験は各科目によって、理論と計算の比率、暗記しなければならない理論のボリュームなどが大きく異なります。そのため、各人によって科目ごとの向き不向きがあり、必ずしも今回挙げたように合格率の高い科目を選べば良いわけではありません。
とは言え、どの科目を選択するかはみなさんが頭を悩ませる部分でもあり、この選択によって合格できる時期や可能性が大きく変わってしまうのも事実です。
科目選択に悩んだ場合は今回のような数字面からアプローチしてみるのもひとつの方法かもしれません。