会計事務所には様々な形態があり、それぞれで特徴が異なります。
本ページでは資産税に強い会計事務所の特徴について解説します。
その他の分類はこちら→生き残る税理士や会計事務所はこれだ!会計事務所の種類・分類・戦略を徹底解説!
資産税に強い会計事務所とは?
概要
資産税に強い会計事務所とは、相続や事業承継といった業務を専門に行う会計事務所です。
この資産税に強い会計事務所は、大きく分けると「個人向けの相続税申告や対策を行う会計事務事務所」(以下、「個人の相続税に強い会計事務所」と呼びます。)と、「企業オーナーや富裕層向けの資産税コンサルティングに強い会計事務所」(以下、「資産税コンサルティングに強い会計事務所」と呼びます。)の2種類があります。
サービスの特徴
●個人の相続税に強い会計事務所
個人の相続税に強い会計事務所は、個人向けの相続税申告業務・相続対策・相続税の還付などのサービスを提供しています。
相続が発生した個人の財産を評価し、期日までに相続税申告書を作るといったサービスをメインで提供しており、一般的な相続の場合は、現金・土地(宅地・農地)・建物などの不動産・有価証券(株式など)を相続財産として取り扱うことが多いです。
●資産税コンサルティングに強い会計事務所
資産税コンサルティングに強い会計事務所は、企業オーナーや富裕層向けに資産税コンサルティングを行っており、資産を保全・維持することを目的に、中長期的な相続対策や事業承継のコンサルティングを行っています。
具体的には、国内外に多数の資産を有する超富裕層や企業オーナーを顧客とし、企業オーナーに対しては株価(企業価値)を評価し、相続税額を抑えながら株式などの資産をどのように後継者や親族に承継していくか、もしくは、不動産や有価証券などの高価な資産を、どのように親族に贈与・相続していくのか、そのプランニングから実行までを行っていきます。
こういった資産税コンサルティングでは、企業オーナーが経営する企業の株式の評価や、株価を下げるための組織再編などが関連するため税法(法人税法・相続税法など)だけでなく、会社法であったり、時に、上場企業オーナーがクライアントの場合は、金融商品取引法や上場企業に関する各種規定なども知識として必要とされる場合があります。
また、こういった超富裕層は、国内のみならず海外にも資産を有していたりすることもあり、その資産の多さや複雑さから高度な知識が必要とされる傾向にあります。
クライアント・顧客の特徴
●個人の相続税に強い会計事務所の顧客
個人の相続税に強い会計事務所の場合は、相続の課税対象となる財産を持っている個人が顧客となりますので、サラリーマンだったり自営業だったりと、職業は様々ですが、基本的には相続財産が数千万円以上の方々となります。
地方では、農家や地主のような、広大な土地を持っている人や事業を行っている人、医者などの高所得者などが対象になる傾向がありますが、東京などの都市部では、相続財産となる地価(土地の評価額)が高いため、際立ったお金持ちでなくとも、都心に一戸建てを持っているような一般的な方々が対象となることもあります。
●資産税コンサルティングに強い会計事務所
企業オーナーや富裕層向けの資産税を専門とする会計事務所の場合は、超富裕層と呼ばれる、少なくとも数億円以上、時に数百億円以上の財産を有する資産家が顧客となります。
そういった顧客には、企業経営者などが多いため、相続のための税務の話はもちろん、経営や後継者などに関する悩みやアドバイスを求めたりする方も多く、また、経営者として豪快な方も多いため、顧客に対応するための高いコミュニケーション能力が求められます。
知識面でも、税務だけでなく、会計や会社法に関する知識、財務・金融(融資・各種金融商品など)に関する幅広い知識が必要とされます。
また、こういった会計事務所は、金融機関と提携して顧客の紹介を受けながら相続や事業承継の対策を行っていくため、金融機関との連携も重要となります。
一般的に、顧客とは相続税申告業務では申告を行うまでの短期間での付き合いになることが多いですが、資産税コンサルティングでは、中長期での相続対策や事業承継対策を行っていくことから、必然的に顧客との付き合いは長くなる傾向になります。
資産税に強い会計事務所に転職するには?
資産税に強い会計事務所が求める人材(採用・求人の動向)
資産税に強い会計事務所が求める人材(採用・求人の動向)
資産税・相続税に強い会計事務所では、「相続税に関する資格(相続税法の合格)」「相続税や資産税の実務経験」のふたつの点から評価されます。
これを基本としつつ、その会計事務所が個人の相続税業務をメインとしているのか、資産税コンサルティングをメインとしているのかによって、求められる人材がさらに異なります。
●個人の相続税に強い会計事務所の求める人材
個人の相続税に強い会計事務所では、相続税法に合格していると評価が高く、合格していなくとも、勉強や受験経験があるとプラス評価になります。
実務経験に関しては、財産評価から相続税申告書の作成までを完結することができるとベスト、完結できなくとも業務の一部の経験があったり、贈与税申告や相続制の還付など周辺業務の経験がある人材でも評価されます。
人物面では、個人のお客様が中心となるため、丁寧な対応やお客様のことを考えたコミュニケーションができるような、いわゆるサービス業や接客業に必要なパーソナリティーがある方、が好まれる傾向にあります。
●資産税コンサルティングに強い会計事務所の求める人材
資産税コンサルティングに強い会計事務所の場合は、個人の相続税に強い会計事務所よりもう一段上の人材が求められる傾向にあります。
資産税コンサルティングにおいては、企業オーナーが保有する企業や資産管理会社の税務が関わってくるため、相続税以外にも、法人税や組織再編税務などの知識が必要となるためです。
また、会社法や株価評価のノウハウや知識が必要になることもあるので、税理士だけではなく、公認会計士も採用対象になります。
人物面では、企業オーナーや富裕層といった、人生経験が豊富な方が相手となるので、経営視点を持ち、豪快な経営者の意図を的確に汲み取ってアドバイスができるような人が好まれます。
また、あくまで会計事務所によりますが、相続税申告や資産税業務は、突発的に発生したり、しっかりしたコンサルティングが必要とされたりすることが多く、一般的な会計事務所よりもやや忙しくなる傾向があります。
そのため、ある程度の残業に対応できる人材や、仕事重視で取り組める人材を欲する傾向はあります。
資産税に強い会計事務所に転職するためのポイント
●個人の相続税業務に強い会計事務所に転職するためのポイント
個人の相続税業務に強い会計事務所に転職するための基本としては、「相続税法に合格していること」「相続税や資産税の経験を有していること」が重要です。
ただし、必ずしも両方を満たしている必要はありません。
資格面では、相続税法に合格していなくとも、「相続税法の受験経験や勉強経験がある」という点はアピールになります。
また、実務経験に関しても、「財産評価など相続税業務の一部を補助として行ったことがある」「贈与税申告の経験がある」「株価評価の経験がある」「アルバイトとして相続税業務の経験がある」といった内容もアピールとなります。
相続税業務未経験の場合は、いきなり本格的な経験を積むことは簡単ではありませんので、上記のようにまずは簡単な業務や一部の業務から経験を積んでいくことが重要です。
●資産税コンサルティングに強い会計事務所に転職するためのポイント
資産税コンサルティングに強い会計事務所に転職するためには、「資格(税理士や公認会計士)」「相続税、法人税に関する知識と経験」が必要とされます。
資格面では、税理士や公認会計士の資格、税理士や税理士科目合格者の場合は相続税法に(できれば法人税法にも)合格していることが望ましいとされます。
資産税コンサルティングは、業務が高度であるため、税理士科目の中でも難関科目である相続税法や法人税法に合格していることが望ましいとされ、公認会計士資格も評価されることがあるのが特徴です。
経験面に関しては、相続税申告や相続対策の経験、または、事業承継など資産税コンサルティングの経験があればベストです。それ以外には、株価評価や組織再編税務の経験など高度な法人税務の経験も評価されます。
資産税コンサルティングの場合は、オーナーの保有する企業を再編したり、資産管理会社を作って節税スキームを考えたりと、様々な論点が出てくるので、相続税関連だけでなく、株価評価や組織再編といった法人税や会社法関連の経験が評価に繋がる点も特徴です。
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